qa_bored

曲を作れるやつが、ある時自分の作る曲に飽きてきて
もう作りたくなくなる。という現象がある。

これには理由がある。曲というのは手癖である程度作れる
お決まりのベースライン、お決まりのフレーズ、お決まりのメロディ
お決まりの音色。お決まりのリズム・・・。

おそらく、それは自分が昔から好きな曲調だったり、よくコピーしていた曲の
フレーズだったりなんだろう。

自分の作るそれらが、ワンパターンで、ワンパターンってだけならまだしも
稚拙で曲のバリエーションがだせない事が多い。なので飽きる。

前にも書いたが自分の曲にダメだしをしてくれる奴が必要だが
割とネットにアップしたところで、最近は死ぬほどアップされているので
誰も見向きもしてくれないだろう。そういう時にどうすればよいか。

そういう時には、自分の頭の中にディレクター人格を作るのがよい。

例えば、一度自分を職業音楽家と捉えて、あるタイプの曲を
発注されたと仮定する。それが自分が作るのに不得手だとしたらどうする?

今までの自分だったら作らないタイプの曲だった場合

「いや、俺はそういう曲は作らないから。」

と無難に避けているだろう。それって実は楽してるだけ。

が、納期があって、作風が固定されていて、作風から外れていたら
ボツを食らう。という状況がもしあったら。


そう。その状況を自ら作るのだ。in your head.


いつも自分が作らないタイプの曲の中には、自分を成長させてくれる
あらゆるヒントが隠されている。作曲中、頭の中の鬼ディレクターが、


「あー全然、世界観があってないな。ボツ。」


「へたくそだな。そんなんで金取れるとおもってんの?代わりはいくらでもいるんだよ。あん?」


と言ってくれるか。言わなきゃそれはディレクターではない。
なんでもOK出すのは、いつものお前の甘えた人格だ。

頭の鬼ディレクターは、滅茶苦茶言うことは厳しいが、
言ってることは確かにあっている。だから、悔しいが、ぐっと我慢して
ディレクターが持っている完成イメージに一生懸命近づけるのだ。
それが職業音楽家だ。

不思議と、そうやっていると今まで作曲は手癖だけで自動的に作っていたのが
ディレクターのイメージに合わせようとすると、作曲中に無限の選択肢が現れては
選択を迫られる。あるメロディを作った時に、それは完成イメージに沿っているか?
ディレクターはOK出すか?と、おのずに問いかけが始まり、気が付いたら自分でボツがだせるようになる。

その時初めて人は、考えながら作曲しているという状況になる。
手癖だけで作っていた作曲から脱却でき、また自分の作れる曲の幅が広がる
瞬間でもあるわけだ。

そうやって、自分の限界を押し広げていくと、喜びが生まれ
作曲に飽きない。

むろん。そもそも曲が作れないやつには関係のない話しだ。
今まで通り機材コレクションに精を出せ。