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憂鬱と官能を教えた学校 菊地 成孔  (著), 大谷 能生  (著)


日本は音楽理論を学ぶのに適していない。というのを前教えてやったが、それでも学びたい。という前向きな人間に対して、この本を勧めよう。

実際問題俺自身がこの本を読んでから、一気に理論に興味が出て、学んでみようと思ったからだ。ただし、この本を読んだからといって、即座にいろいろ理解できるというわけではない。この本はあくまでも、入口だ。しかし、ほかにこれほど優れた入口を提示した本はなかった。と思う。

それこそ音楽理論なんてものは宗教に近い学問だからだ。これがいいとされている。という根拠がみんながそう思っているから。という乱暴なものだから。数学的に綺麗に並んでいるから、響きがいい。とかそういうのも全部宗教。雑音でも好きな奴はいる。

20年前の常識が今は通じないことは多々あるからね。

ただ、この作者の菊地成孔はそういうのわかって、説明してくれている。たとえば、音大とか専門学校とかは、先生がもう一階層下なので、こういうもんだから。古(いにしえ)よりそう決まっているから。と自分の信じている神様を疑いもせずに、説明するので、俺のような無神論者には、こういうやつが平気で神の名のもとに爆撃とかするんだろうな。とよく思う。

音楽は自由だ。というが、実際大衆に受けいれられている音は非常に不自由で、かなり束縛されている。俺もある程度そういった束縛を受けて入れているから、問題ないが、こと理論とか学問となると、自分がよいと思っているものとの不合理があると、受け入れられない部分がでてくるのだ。そういった納得できないことに対して説明できない先生の下につくと、俺のような者はドロップアウトしがちで、結果、ひねくれた人間ができあがる。それでも俺は生きているし、表現できるし、金も稼いでいるから問題ないが。

ただ、そうやって、束縛された世界の人間を見ていると、お前なんかにマーティーフリードマンやAPHEXTWINのすごさはわからんだろうな。と思って、ざまぁみろと思う。もちろん、みんな違ってそれでいいのだが。

そういうわけで上の本は、非常におすすめだが、以下のことに気を付けてほしい。

・読んだだけで分かった気になりがちなので、それから数年誰かに教えてもらうとよい。
・理論オタクになっても、絶対にいい曲なんかかけない。
・理論は手で再現できて初めて使えるといえる。(俺はそこが実はできてない。)


そういうわけだ。ちなみに、文庫化されて、上下巻で新品が買えるらしいが、俺は上のやつが装丁が好きだ。ちなみに、憂鬱と官能というのは、ドミナントモーションのことだと俺は理解している。




気に入ったら、こっちも読むとよい。名著だ。


 

菊地 成孔 といえば、この曲。