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割と何度も言っていることだが、シンセというものは新しければいいというものではない。
シンセにも種類があるが、とりあえずここではソフトシンセということに絞っておこう。

値段が高ければいいものというのは、デジタル楽器においては成り立たない。
そこがわからない限り、いつまでたっても年収200万の壁は越えられない。

デジタル楽器の歴史で何が進化したか考えたことがあるか?結論から言おう。

①音の再生周波数があがって、高音がよくきこえるようになった。

②VCOなどのシンセ内のモジュールが増えて、より複雑な音作りができるようになった。

③ビット深度がどんどんあがって、音量のなめらかな変化ができるようになった。

④音色を沢山保存できるようになった。

⑤曲ごとに楽器の設定を保存できるので、トータルリコールができる。


特にこれらはVSTiなどのソフトシンセになってから、劇的に進化した。さて、これらすべて、俺から言わせると、そのせいで逆に作曲が不自由になったと言える。

まぁもちろん、いいこともある。トータルリコールを経験したら、もはや従来のハードシンセの音色呼び出しとかかったるくてやってられない。

だがしかし、これからいうことを読めばお前も目から鱗だと思うぞ。

①音の周波数があがって高音が出るからといって、曲がよくなるとは限らない。むしろ、削ってやらなければいけない周波数が増えた。

②モジュールが増えて、制御しなければいけない。(したくなる)パラメーターが増えて、結果何もしたくなくなる。

③ビットレートが低い時代は高いものにあこがれたが、高くなれば低いものの良さがわかる。ビットクラッシャーとか汚し系のエフェクターなんかを、あえてかけなければいけなくなる。面倒。

④わかると思うが、最近のVSTiはプリセットだけで何百とある。それを色々試していると日が暮れる。

⑤トータルリコールは便利。


つまり俺が言いたいのは、楽器の性能があがっても、かならずしも作曲に役に立つとは限らないということだ。


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俺の場合、シンセに興味を持った時に、ちょうどアナログモデリングのノードリード2が発売されたころで、それを楽器屋で触って、これは俺が求めている楽器だ!!と感動した覚えがある。それまで見たことがあるシンセは、コルグのM1やヤマハのEOSのような、いわゆるプリセットを呼び出して弾く。というような、PCMシンセだけだったので、つまみが沢山ついていて、ひねると劇的に音が変わるし、むきだしの電子な音がしたので、感動したのだ。

バイトをがんばって20万出してノードリード買った。だけれど、結局あれでもつまみが多すぎた。俺はシンセの音作りの基本を覚えたのはもっと後だった。

それは、仕事で、あるゲームのサウンドを作った時に、ハードはゲームボーイアドバンスだったので、まだ、スペックが低く、ゲーム内に自分で作ったPCMシンセを、埋め込むような感じの環境づくりから始めたのだ。これが俺にはかなり勉強になった。(MODとか、トラッカー文化を知っている人ならピンとくるかな?)

わかりやすく言うと、サンプラー内臓シンセのプリセットを自分で1から作る感じ。

ただし、いじれるパラメーターはごくわずか。必要最低限。さらに。同時発音数が6音だったかな。そんな世界。

そん時に、最もシンプルなパラメーター、ADSRと元波形の1サンプル。だけで曲を作ったんだけど、それでプロっぽい音を作るってのは結構難易度高かったわけ。

ただ、これをやったおかげでシンセに必要な基本的なパラメータが見えてきた。また、同じ音色を使いまわしたり、同時発音数が少なくても、それなりに聞こえるように工夫するやり方がわかったわけ。

今って、パラメーターが無限にあるから、これからシンセを覚えようとするやつにとっては実は不幸なのね。どのパラメーターを触ればいいかわからないから、結局どこもいじらない。最終的にプリセット選んで終わりっていう。

もちろん、プリセットでもいい曲かけるけど、もっと貧弱なプーとかビーって音を加工して、それをいい感じに聞かせるっていう工夫をしてた俺から言わせると、よくできた音色って曲調を選びすぎるので不便なんだよ。実は汎用性が低い。

あとサンプリングレートやビットも低い楽器でやってると、最初から汚れたサウンドが鳴るわけだから、あえて汚す必要がない。今は、わざわざビットクラッシャーかけたり、テープ通したり大変だよ。

割とアマチュアのやつらは、音がクリアすぎてダサいんだよね。なぜならサウンドを汚すってことにみんな抵抗があるから。せっかく高いシンセ買って、いい音なるのに、なんで汚したり削ったりしなければいけないんだ?って無意識に抵抗しちゃんだよ。そうだろ?

そして、なによりも人間の脳って、視覚は確かに解像度が高いほど喜びを感じるけど、音楽に関しては、むしろ解像度低かろうが高かろうが、あまり関知しない。

むしろ重視しているのは楽曲そのものの完成度の高さ。

まとめると、シンセは自分が手足のように扱えるもの。自分がいい音を引き出せるものであればなんでもよくて、そのためには、シンセを構造を1から理解する必要がある。そのためにはなるだけシンプルなものがよくて、それをコントロールできて初めてシンセのツボがわかるわけだ。

俺が好きなのはableton liveについてるsimplerというもの。これで何でも作れる。

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音は悪いが、使い勝手がよかったDAW。