
俺が7年のDTMタイムリープを経て、目を覚まして驚いたことの一つに、Spliceというサイトがある。かつてサンプリングCDと呼ばれた、DTMerに必要なサンプル音源集(こう書くとシンセにも聞こえるからやっかいだ)は、ダウンロード販売を経て、現在は定額制に移行していた。
月に100サンプルまでダウンロードで1000円程度である。最初期のサンプリングCDなんて1枚1万円くらいしていたから、ずいぶん安くなったものだ。それもこれも違法ダウンロードが横行したせいで思い切って価格を下げた方が、いちいち違法ダウンロードする気がなくなるだろう。と考えた苦渋の決断なのだと思う。Applemusicもそうだ。
月に100サンプルってどうなんだろう?と考えた時に、俺はどんなに使っても1曲に10サンプル程度しか使わないので、全然お釣りが来ると思った。
それよりなにより、何万枚?(正確にはわからないが)のサンプル音源を試聴して、使えると判断したものだけダウンロードすればいいので、こんなに効率のよいものはない。
ちなみに、ぱっと見たところ、このSplice社のオリジナル音源以外にも、あらゆるブランドが出店しているので、作家性に偏りは無いと思う。俺の好きなSample Magic社があったのが嬉しい。
また、VSTなどのプラグインの期間レンタルを行っていて、一定期間で使えなくなるプラグインも多々あった。これはすごいと思った。使えるかどうか試すのにサンプル版だとノイズが入ったりするものが多いが、これなら正規利用できる。
専用のデスクトップアプリもあったりして、いたれりつくせりなのだが、問題は目的のサンプルに到達できるスピードだ。多かろう面倒くさかろうではだめなのだ。

その点に関しては、このようにアプリでは、ジャンル、BPM、キーなどで絞り込みができるので、おそらく簡単だろう。
こういう書き方をすると、完全に藤本健の提灯記事みたいで、誰でもこれさえ使えばいきなり名作曲家みたいな錯覚を起こすやつもいそうなので、言っとくが、一番大事なのは使えるサンプルを聞き分けられる己の耳なのだ。
そういえば、先日俺がアップしたリミックスコンテスト曲の解説を見た人が、結構サンプル使うんですね。と感想をくれたが、そう。俺は基本サンプルを使いまくる。使わないのはメロディを持った音だけだ。
それ以外はサンプルを使わないと時間がかかって、その割にクオリティが下がるので嫌なのだ。それじゃ、自分の曲とは言えないのでは?と思うかもしれないが、実はその辺の意識革命を起こさないとDTMはやってられない。
ただ1から音を作る曲の方が愛着が湧くのは確かだ。だが、それが他人に伝わるとは限らない。カレーを作るのに、スパイスを栽培するのか、カレールーを買うのかの違いだ。
またサンプルを使うと、自分じゃ絶対に出てこないフレーズや音色があるので、それらにインスパイアされて曲自体が引っ張られることもある。それすらもサンプルを使った作曲の面白さだと思う。コード進行作って、メロディのっけて音色を決める。といった旧来の作曲法では到達できないものがあるし、なにより、そういう作り方ができない人が、この方法で作曲できるようになったというのが、でかいと思う。
また、これから時間をかけてサンプルの種類も増えていくだろうし、そのサンプル同士を自動で組んでくれるAIとかも生まれそうだから、人間は最後の仕上げだけする。みたいなこともあるかもしれない。そういった時に、1から手で作れる人は貴重な人間国宝みたいな扱いされるかもね。
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