十代の頃にロックにやられたやつほど、40代になって行き場をなくしている。

ロックがもたらす全能感。NOと言える勇気。そして根拠のない自信。それらは社会では役に立たないのだろうか?

俺はいいところでテクノを聞き出したから、なんとか命拾いしたけれども、あのままメタルヘッズのままだと、多分今頃懲役に行っていただろう。

あるとき俺は帰省した折、十代の頃メタルが好きでイングヴェイなどのギターがうまかった友人に飲み屋で会った。俺は今、(当時)音楽で飯を食ってる。と言ったら、何か悔しかったのか、

「俺はでかいことやるぜ。今に見てろ!!」

というので、何をやるの?ときいたら、「とにかくデカいことだよ」と興奮しながら言っていた。彼は田舎というタイムカプセルに閉じ込められたまま、ロックのノリだけで生きてきたのだろうか。ちょっとかわいそうになった。

そして、それからもう10年以上たった今、彼は大人になったのだろうか。ロックは何も責任とってくれない。ロックな人はどこにでもいるが、ロックスターっていうのは一握りしかいない。ロックスターの言動を真に受けて、それがエンターテイメントだと気が付かないと、割とヤバイ人生を歩むぜ。


俺はメタルは好きだが、メタル好きは嫌いなんだよ。