このガイドブック最高。vaporwaveなる存在は俺はコミュニティの人から話をきいて、その存在を去年知っていたのが、俺がDTMから離れていた間に、ネットミームとして隆盛を極めたらしく、やっと今キャズムを超えたくらいらしい。vaporwave的な感覚(乱暴なサンプリングと退廃的なエディット)は俺の中にももともとあるし、俺がDTM始めた頃は、そんなのばっかり作っていたのが、まさかシーンになっているとは思わなかった。


今回俺がvaporに目覚めたきっかけは、この動画をみてからだ。なるほど現代のレアグルーヴだったのか。とわかって納得。そして上のガイドブックを買って読んでいたら、俺がテクノにハマった頃の妙なワクワクが止まらないレビューばかりで興奮した。基本vaporwaveのアルバムはyoutubeにあがっており、音源が欲しかったらbandcampで買うらしい。そしてYoutubeメインのわけは、とにかく恐ろしいほどの権利者無視のサンプリングまんま使い。そして狂ったようなエディット。これまでの電子音楽の文脈から完全に離れた自由さ。どっちかというと美大生とかが作りそうな音楽。アンチクラブな感じがよい。ちなみに始祖はOPNというのだからそれも驚き。OPNはポストaphexのwarpの代表格だ。90年代後期というのはテクノはちょっとイカレた音楽で、まずCDやレコードでしか手に入らないし、渋谷まで買いに行かないと手に入らない音盤が沢山あった。シャープネルとかガバ・ナードコア系のやつはパルコのそれっぽい店にまで買いに行ってた。当時はテクノ系・レイブ系の洋服も結構売ってて下北沢のビルの一室に通ってた。そこでもいつも海賊版と思わしき変なテクノがいつもかかってた。そういうのに俺はすごく興奮していた。

テクノはお手軽音楽であるべきだし、サンプリングありきじゃないと面白くない。俺はその時そう学んだ。今のEDMみたいに優等生が緻密な時計つくるみたいなスタイルもいいけれど、ジャンキーがノリで作るいい加減な音楽がシーンを作っていたいい時代が俺は好きだった。それがvaporwaveという形で今はまたシーンを形成していたとは知らなかった。(ちなみにその間俺は金を稼ぐということに没頭していたので今は金の心配なく音楽できるわけだ)

vaporwaveというのは曲のスタイルやジャンルという意味もあるが、もっと広義に、かつて流行った音楽のもつ儚さを編集により悪趣味に楽しむという文化でもある。音楽以外にアートワークも秀逸で、アマゾンでvaporwaveと検索するだけで、関連商品が多数出品されているが、売る気がないだろう?という価格設定のものや、出品することそのものを楽しんでるかのような商品があって、たまらん。でもそこにはちゃんと一つの価値観を共有しているのがにくい。

vaporwaveを語る上で、vektroidは絶対に外せないということだが、これはまじで名盤だ。俺が好きな要素がつまりまくっている。newage、テープサウンド、ローファイテクノ。だが、これだけがvaporwaveではない。vaporwaveとはコンセプトなのだ。


例えばこれ。有線でかかっているようなイージーリスニングを適当に88PROで鳴らしたようなアルバム。企業の有線でかけるというコンセプトだが、ジャケからも悪意を感じる。で上のガイドブックのディスクレビューとセットだと非常に楽しめる。この曲をまじで作った人の気持ちとかを踏みにじる、ヘラヘラ笑いながら作った感じがたまらなくいい。

アンビエント的にもすごい優れた作品だと思うが、これも基本サンプリング。アートとは基本サンプリングなんだよ。ということを思い出させてくれる素晴らしい作品。


どうやったら、そんなに適当に音楽をつくれるの?というくらい逆に振り切る難しさを教えてくれる作品。日々自分を上達するためにコツコツyoutubeでTipsを見て、修行しているDtmerからは出てこない、真逆の発想。音楽をお金のために生活のために修行している人は、多分死ぬまでわからないこの感性。
そう。自由な発想が大事だということを、また教えてくれるvaporwave。これからもいろいろガイドブックを見ながら作品を掘るのが楽しみでしょうがない。

ちなみにアンダーグラウンドではもうこのシーンは終わっているらしい。まぁでもネットというのは時空を超えて偏在できる場所なので、気にならない。この記事を読んでまた誰かがハマればいい。