この回の結論
これほど多機能なシンセがこれほど窮屈に感じられるのは面白い。Bass Station the second は、生々しくスクウェルチーで思いっきり歪んだ音に関しては完璧なシンセで、変態的な音も古典的なシンセ音も作れる設備は一通り揃っている。ただしその「得意領域」から外に連れ出すのが毎回簡単とは限らない。Bass Station 2 はすでにクラシックだし、中古市場をいずれ埋め尽くすことになる安価な中国製アナログを、あそこより何年も先にやった Novation はもっと敬意を払われていい。
何を喋っているか
- 「世界一嫌われてるオーディオ機材の番組」へようこそ。この番組は実は bad gear の話ではなく、世界のシンセコミュニティの十分な割合を確実にキレさせる楽器を適当に選んでいるだけだ、という噂が根強くある。「アンチシンセの怨嗟は木に生る」とでも言いたげだが、もちろんそんなことはない。だいたい万人に好かれてる楽器だってあるし、最近も Access Virus や Novation DrumStation では十分な憎悪が見つからなかった。
- というわけで今日は Bass Station 2。先祖にあたる90年代の初代 Bass Station が既に「名前の約束を果たしていない」評判を持っていたので、この2013年製アナログモノシンセは生まれつき適量のネット論争を背負う運命にあった。
- 一見すると Bass Station 2 は要件を全部満たしている。ちょっとした小技つきの古典的90年代モノシンセ、アフタータッチ付きの手堅い鍵盤、意外と頑丈なプラ筐体。
- そしてシンセ初心者全員の夢を叶える、でかくて太いカットオフノブ。2基の DCO は気取らない波形の品揃えで、PWM とシンク付き。やや簡素なサブオシレーターも不足はない。
- 外部信号の入力・ノイズ追加・リングモジュレーションを1つで受け持つ専用ノブがある。初代 Bass Station のフィルターは良くも悪くも非常に個性的な音だったので、後継機で足された機能は大歓迎。アシッドモードはいつでもパーティーの準備ができている。
- フィルターオーバードライブはかなり気に入って使った。トリガーモードを一通り持つエンベロープと、同期可能で使い出のある LFO 2基。ただしそれぞれ物理コントロールを1組ずつ共有していて、これは理想には程遠い。
- これでもまだ汚れ足りない人向けにポストフィルターのディストーション。オシレーター2でフィルターカットオフを変調させればフィルター FM もできる。アルペジエーターは求められがちな「オートパイロット機能」を提供し、SH-101 スタイルのステップシーケンサーは誰でも好き。
- この「そこそこ面白くてバランスの取れた」機能セットだけでも売るには十分だが、Novation はファームウェアアップデートの絨毯爆撃で場外ホームランを打った。要望の多かった定番 — フィルタートラッキング、2ボイスのパラフォニックモード、エンベロープ再トリガー、ランダムデチューンパラメーター。
- マイクロチューニングもその始まりに過ぎない。ドラム向きのエンベロープ機能、チューニング可能なサブオシレーター、グライドのディバージェンスも良い。だが控えよ愚民ども、頭を垂れ、跪いて崇めよ — AFX モードである。降臨させたのは唯一無二の
- Richard D James、すなわち Aphex Twin。で、実際やることはキーごとにパッチを割り当てるだけ。音色の順列を作ったりドラムを組んだりするには最高。Components のブラウザ経由の設定は文句なしに快適。多くの機能はファンクションキーを押しながらの「必殺技コマンド」でしか呼び出せない。
- 電源は USB でも AC アダプタでも取れる。MIDI は大人向けの本気仕様。発売から10年近く経った今も新品が EU で400ビールトークン強で買える。ここから Verdict — 象徴的だが物議も呼んだ90年代の名機を、思慮深くアップデートしたように見える。Novation は初代の欠点を潰せたのか。
- 音は今日のイントロ曲で既に聴いた通り。BOSS の Metal Zone は家に置いてきていい。Novation が馬鹿でかいカットオフノブを付けてくれたのは本当にありがたい。これは使えという意味だと思っている。
- あのターボを全曲でやりたいとは思わないが、複数段のディストーションが独自のキャラクターを生んでいる。バンドパスとアシッドフィルターはいい具合にエッジがあり、アルペジエーターも扱いやすい。追加機能が多すぎて、この回の音楽で全部に見せ場を作るのは正直難しい。Novation は確実に金を払うべきジャムで最善を尽くしてみる。
- クリーミーな音と表情豊かなアフタータッチはソロに最適だが、この手の音はミックスに収めるのが常に楽とは限らない。ここでもアシッドフィルターが一番おいしく、特に効果的なシーケンサーとの組み合わせが良い。パラフォニックモードは再トリガーが読めず、やや扱いづらいと感じた。
- というわけで、この楽器の音楽的に難易度の低い側面を探ってみる。職場の同僚・親戚の集まり・そして非常にバニラな交際相手のための、当たり障りのないメインストリーム・サイケデリア。
- Verdict。これほど多機能なシンセがこれほど窮屈に感じられるのは面白い。Bass Station the second は、生々しく・スクウェルチーで・思いきり歪んだもの全般に完璧なシンセであり、変態的な音も古典的なシンセ音も作れる設備が揃っている。ただしその居心地のいい領域から連れ出すのは毎回簡単ではない。
- Bass Station 2 はもうクラシックになったし、いずれ地元の中古掲示板を埋め尽くすことになる安価な中国製アナログシンセを、あそこより何年も先にやった Novation はもっと敬意を払われていい。見てくれてありがとう、また次回。高評価・登録・patron・コメントで見たい機材を教えてくれ。