この回の結論
UNO Pro はいい音のするシンセだ。使いやすいし、UI のコンセプトとデザイン言語は好みが分かれるにせよ、ヴィンテージ調のアナログサウンドと上等な鍵盤は本当に気に入った。ただし癖もある — 何より物理コントロールの安っぽい感触、Windows XP みたいな起動時間、そしてメーカーの奇妙なライセンスポリシー。雲に向かって怒鳴る老人なのかもしれないが、自分のハードディスクに店を開いて、あまつさえその料金まで請求してくるような会社の優れたシンセに金を払うくらいなら、半分壊れたアンティークに払う。
何を喋っているか
- 「世界一嫌われたオーディオ機材の番組」Bad Gear へようこそ。こういう回はシンセ・ミーム愛好家という素晴らしいコミュニティなしには成立しない。KORG だろうが Roland だろうが Yamaha だろうが teenage engineering だろうが、楽器のありとあらゆる側面についてユーモラスな描写がネットに転がっている。
- 今日は IK Multimedia UNO Synth Pro。2021年のアナログシンセで、Volca 風だった初代 UNO Synth のプロ版。シンセ好きの間ではそれなりに騒ぎになったのに、ミームが1つも見つからなかった初めての機材だ。これは非常に良い兆候か、非常に悪い兆候のどちらかである。
- 一見すると UNO Pro は「ドライヤーと microKORG が情熱的に愛し合ったらどうなる?」系のチェックボックスを全部埋めている。アフタータッチ付きの Fatar 鍵盤 — ただしケチってデスクトップ版を選んでいなければの話。ノブはやたらプラスチッキーで少しグラつく。2つがフィルター専用、残り4つが汎用。
- 3基のオシレーターは基本波形をスムーズに可変でき、シンクとリングモジュレーションを備える。全能なる Nick の信徒たちは、PWM に簡単に手が届くことを喜ぶだろう。
- フィルターは、初代 UNO Synth でおなじみの2ポール Type S に加えて、IK がさらに2ポールと4ポールのローパスを追加。直列でも並列でも使える。
- リンクモードがあり、spacing で各フィルターのカットオフ周波数にオフセットを付けられる。同期可能な LFO が2基、アンプとフィルター用のループ可能な ADSR。ここまでは特に興奮するような話ではない。面白くなるのは16スロットのモジュレーションマトリクスを立ち上げた瞬間から。
- 設定を詰めるのは確かに少し面倒くさいが、考え方自体は単純。多彩なソースとデスティネーションから選べて、CV 出力に送ることもできる。面倒といえば、ノイジーな内蔵 FX には一応専用のコントロール層が用意されている。
- ただしアルゴリズムの微調整となると、挙動の怪しいメインエンコーダーと、小さいが結晶のようにクリアなディスプレイと格闘することになる。そこ以外の大半のパラメータは、スポンジみたいなラバーボタン一押しで届く。内蔵シーケンサーは64ステップ、専任機の繊細さは期待できないが、使いやすく応用が利き、メトロノーム付きでパラメータ操作の録音もできる。
- 和音も鳴る。IK はパラフォニックモードを放り込んできて、3つのオシレーターを独立に演奏できる — もっともシンセエンジンの他の部分は全部共有だが。アルペジエーターもあり、ソングモードでは最大64パターンを連結できる。
- シンプルなパッド、ジューシーなベース、FX まみれのリード、いいパーカッション、どれもメニューに載っている。ただし黒光りする表面が皮脂と指紋を集める前から、ラベルの一部は読みづらい。
- 金属筐体はいい点だが、micro USB、ミニジャックのヘッドホン出力、変な電源プラグ、雑な電源オフ手順 — どれも「Pro」には見えない。チューニングは堅牢だが、起動時のキャリブレーションが永遠にかかるのだから当然そうあるべき。ソフトエディターは特に必要と感じなかったが、そもそも IK のサイトから普通にダウンロードできず、まず Product Manager を入れる必要がある。中古車のセールスマンとスパイウェアを掛け合わせたような代物だ。
- プロダクトキーを入れろと言われるが持っていない。このシンセは Synth Anatomy の Tom から借りたものだ (ありがとうブラザー)。そして最初のオーナーでなければ、ライセンス移行に20ドル払うか、カードを25枚引くことになる。非の打ち所のないカスタマーサポートで知られる会社のインフラに依存するのが平気なら、UNO Pro は Oli の恐怖のお店らしい相場で手に入る。
- UNO Pro のような楽器は、10年前なら音楽機材の風景を完全に塗り替えていたはずだ。この過剰供給の時代にまだ意味があるのか。今日のイントロはすでに UNO Pro で作ってあり、食物連鎖のもっと上にいる楽器で作った他の多くのバージョンより、こっちの方が好みだ。まずは1本目のジャムでスイートスポットを探る。
- ジャム1。悪くない。
- 最高にスペクタクルなアナログサウンドではないかもしれないが、スイートスポットは広い。レゾナンスを上げても低域はしっかり残り、ドライブ段のクランチも品がいい。次はパラフォニックモードを試し、FX セクションを Epic に振り切る。
- ジャム2。「思ったよりうまくいった」。内蔵 FX は確かに Lexicon ではないが、多少マニュアルを潜れば使える。ひどい S/N 比も、これくらい密なアレンジなら問題にならない。
- UNO Pro のシネマティックな面をどこまで押せるか、DAW の祝福つきで確かめる。「並行次元を扱ったアートハウス映画のミニマルテクノなサウンドトラック、Bad Gear のメイキング」。
- Verdict 前半。UNO Pro はいい音のするシンセで、使いやすい。UI のコンセプトとデザイン言語は好みが分かれるにせよ、ヴィンテージ調のアナログサウンドと上質な鍵盤は本当に気に入った。ただし癖もいくつかある。
- Verdict 後半。安っぽい物理コントロールの手触り、Windows XP 並みの起動時間、そしてメーカーの奇妙なライセンスポリシー。雲に怒鳴る老人なのかもしれないが、自分のハードディスクに店を開いて挙句その代金まで請求してくる会社の優れたシンセより、半分壊れたアンティークに金を払う方がいい。視聴に感謝、次回また。