Teenage Engineering OP-Z

Bad Gear - Teenage Engineering OP-Z

この回の結論

OP-Z をどう思えばいいのか、正直まだ分からない。コンパクトなのに完結した音楽制作環境で、強力なシーケンサー、良い音源、マルチメディア機能、そして空港で止められずに済むデザインを持っているのは間違いなく夢のような話だ。だが「画面は自分で持ってこい」「MIDI と CV はコインを入れろ」方針が、この価格帯にしては怪しいビルドクオリティと組み合わさると、多くの人にとって決定打になる。極小のコントロールも、UI で黒帯を取る覚悟がないとフラストレーションが溜まる。自分は OP-Z にはちょっと古い人間すぎるのかもしれないが、この機能を全部載せた「もう少しオモチャ臭くない楽器」なら間違いなく買う。残念ながら Teenage Engineering は本物の子供のオモチャをリブランドするのに忙しいらしい。

何を喋っているか

  1. 世界で最も嫌われたオーディオ機材の番組へようこそ。常連視聴者は自分を「古代の難破船みたいな機材と安っぽい旧グルーヴボックスを愛でる男」として知っているはず。現代 Elektron の工業的な佇まいや Roland の Ira シリーズの沼ガスみたいな光には惹かれるものの、Teenage Engineering のデザインと「メタな態度」だけは一度もしっくり来たことがない。今日はその OP-Z を扱う。
  2. このプロテインバー型のマルチメディア・グルーヴボックスは、ちょうど TE が「多元宇宙を溶かす」OP-1 の生産を止めた頃に出た。実際のオーディオ機材にわずかでも似ている部品を全部取り払い、超過激な小型化の新基準を打ち立て、神と人と聖なるものすべてに逆らって、画面をオプション扱い・アプリを iOS 専用にした。Roland がこれを先に思いつかなかったのが不思議なくらいだ。
  3. 一見すると OP-Z は条件を全部満たしている。別世界の Star Trek に出てくるテレビのリモコン、射出成形プラスチック製、極小のボタンだらけ、そして Lego Technic 互換のエンコーダーの中に、マルチティンバー音源が閉じ込められている。
  4. 象徴的な兄弟機 OP-1 と違い、OP-Z にはちゃんとしたマルチトラックシーケンサーが載っている。技術的には同一のサンプルベースのドラムトラックが 4 本と、メロディ寄りのトラックが 4 本。後者はモノフォニックのベース、ポリのリード、
  5. アルペジオ、最大 4 音のコードに割り当てられているが、中身は同じ 11 種のシンセエンジンとクロマチックのサンプルプレイヤーを共有している。
  6. bow や cluster といった変わり種のフレーバーもある(字幕は最後の一つを「your anus」と書き起こしていて、たぶん Uranus のこと)。saw のようなもっと真っ当な音源は OP-1 を思わせ、2 つのパラメーターでいじれる。
  7. レゾナントフィルターもある。ノブの前半はローパス、昼飯を過ぎたらハイパスになるタイプだ。
  8. ADSR エンベロープはアンプ用の 1 基のみ。ただし LFO はシンセパラメーターにルーティングできる。
  9. Teenage Engineering はセンドを 2 系統と、コーラス・ドライブ・フィルターを含むマスター FX セクションも入れてきた。tape でビートリピート系の効果が作れるし、小さな Pocket Operator によく似たパンチイン・エフェクトでライブ演奏を味付けできる。
  10. ジャイロスコープがあなたの表現主義的なダンスの動きをモジュレーションに変えてくれる。OP-1 の秘教的なシーケンサーのギミックとバーチャルテープ路線は自分の趣味に刺さらなかったので、OP-Z のもっと伝統的なシーケンサーはありがたい。パターン長は最大 16 ステップだが、ステップ長を変える・パターンをチェインするなどで回避できる。
  11. あるいは step components のウサギの穴に潜れば、ステップリピート、スイープ、サブステップまで入れられる。最大 16 パターン + 全パラメーターを 10 プロジェクトにまとめられる。かなり立派な機能セットだ。OP-Z 単体でも動くが、
  12. Bluetooth で iOS アプリと同期すると格段に楽になる。アプリは Mac mini でも動かせたが、Windows や Android 向けの解は知らない。素の状態では内蔵マイク、ヘッドセットマイク、USB 経由でのサンプル読み込みに対応。ラインモジュールや N64 スタイルの Rumble パックなどの拡張も足せる。フェアトレード麻薬インターフェースのオプションもある。
  13. この個体は oplab モジュール入りで、MIDI と CV が使える。USB-C ポートはコンピューターとの通信に加え、OP-Z を MIDI ホストにする。ただし電力はあまり出せないので、変換ケーブル数本を予算に入れておくこと。それから operatic セクション。DMX インターフェース経由でシーケンサーから照明リグを制御できる。
  14. 静止画と動画による即席ビジュアル、photomatic、Unity エンジンベースのビデオアニメーション……まだ見てる? ミュートグループ、プリセットのランダマイズ、今まで出会った中で二番目に役に立たないピッチベンド装置、内蔵スピーカー(これはちょっと曲がってる)、俺の人生みたいなスーパーパニック、コード構造の自動解析、充電池、何百万通りものボタンの組み合わせ。
  15. 本体は OP-1 より 100 万ほど安いが、それでも 1000 億ドルはする。シンセ修理の魔法使い Thomas に感謝を。今後のエピソード用に 90 年代のシンセを何台か蘇生してくれている上に、この OP-Z も貸してくれた。OP-Z はおそらく 1 平方インチあたりの機能数で世界記録を持っている。今回こそ Teenage Engineering は自分を落とせるのか。今日のイントロ曲でもう OP-Z の音は聴いてもらった、それ自体は何の問題もない。知りたいのは、
  16. Red Means Recording と Cuckoo のライブセットを 10 分見たら OP-Z について何を学べるか、だ。……えーと。
  17. 思ったより簡単だった。16 ステップ制限のかわし方についてはまだ初心者だと認めるが、パンチ FX と Elektron 風の step components は強力な道具立てだ。今回は音作りがちょっと平凡だったので、外部機材と iOS デバイスを足して音源をもっとちゃんと制御してみる。
  18. 編集画面があるとかなり楽になるし、oplab オプション経由での外部シンセ統合は完璧に動く。ただしボタンのダブルトリガーに悩まされ、Bluetooth 接続にも問題が出た。ステージで体験したい類のものではない。TE はライブパフォーマンスを強く推しているので、次はスタジオ楽器としてのテストだ。ジャンルは、
  19. 「デカフェ・フォームなし・シロップ半分・アイス・スキニー・ベンティ・バニラ 10 プッシュ・ホイップ増し、Cyberdyne Systems 社員食堂の BGM」。
  20. Verdict。OP-Z をどう評価すべきかまだ分からない。コンパクトで完結した制作環境、強力なシーケンサー、良い音源、マルチメディア機能、そして空港で止められずに済むデザインは確かに夢のようだ。だが「画面は自分で持参」「MIDI と CV はコイン投入」方針が、
  21. 比較的高価な機材のビルドクオリティ問題と組み合わさると、多くの人には決定打になる。極小のコントロールも UI で黒帯を取らない限りフラストレーションが溜まる。自分は OP-Z には少し古い人間すぎるのかもしれない。だがこの機能を全部載せた「もう少しオモチャ臭くない楽器」なら絶対に買う。あいにく Teenage Engineering は本物の子供用オモチャをリブランドするのに忙しいようだ。
  22. エンディング。楽しんでもらえたなら高評価・チャンネル登録・patron 加入を。次に扱ってほしい機材をコメントで教えてくれ。