素人のためのドラムビート

Drum Beats for AMATEURS

この回の結論

結論らしい結論はなく、締めは視聴者への挑発で終わる。「お前の好きなビートのカテゴリーが入ってなかったことについて、コメント欄で存分に俺を叩いてくれ」。あとは高評価・登録・Patreon、そして概要欄のリンクを使ってくれれば、お前の腹の底が何と命じていようとチャンネルの助けになる、と。要するに「理論がなくても手順さえ踏めばビートは組める」というのがこの回の主張であり、あとは実際に打ち込め、というだけの話。

何を喋っているか

  1. 音楽理論も正式な作曲スキルも無い人間 (自分を含む) がどうやってドラムビートを作るか、という導入。エレクトロニック・ミュージックのリズムの骨組みの作り方を扱う。「このチャンネルの常連なら、俺がジャンル分類の泥沼に手を突っ込むのが大好きなのは知ってるだろう」が、今日はもっと普遍的な話をする、と。実際のミュージシャンにも役に立つかもしれない、と一応保険をかける。
  2. 章題「Düsseldorf 1981」。まず最も原型的で汎用性の高いエレクトロ・ビート = バックビートから。スネアを5ステップ目と13ステップ目に置く。キックは1ステップ目、あとは気分でもう1〜2発足す。ハイハットは極限まで最小限に抑える。
  3. 凝りたければハイハットのパターンをコピーして2ステップ右にずらし、別のハイハット/パーカッション音を鳴らす。長めのループの1小節目の頭に、これから作る音楽の方向性を決めるサンプルを置く。
  4. このビートはどんな音でもどんなテンポでも機能する。128 BPM圏なら定番の808キットで外さない。「ただし10人中9人のリスナーはそんなこと気にしていない」。テンポをPS1のレースゲームのサントラ並みに上げてドラムキットを差し替えることもできる。このビートを劇的に良くする「そんなに秘密でもない隠し味」があって、それは後で話す、と予告。
  5. もっとリラックスした遅いバージョンも試す。古いレコードからサンプリングしたキットと、蒸したブロッコリーを健康的に一皿添えて。
  6. 章題「Give me a break」。行儀の良いダンスフロア・テンポでバックビートを打ち込むだけでも十分成立はするが、さっきの遅いバージョンも速いバージョンも、人間っぽいノリと有機的な質感を足すと良くなる。
  7. そのいちばん簡単で確実な方法が、有名どころのドラムブレイクを放り込むこと。この手のブレイクにはピッチを下げて使われてきた長い歴史がある — 特に態度のデカい奴らの間で。ただし本領を発揮するのは速いテンポの方。チョップし始めると面白くなってくる。
  8. さらにテンポを上げて、手に入る限り最も凶暴なエフェクトでループをぐちゃぐちゃにする。「噂によると、他の伝説的ドラムブレイクも使えるらしい — 自分の創造性の欠如をあまり露骨にしたくない場合に」
  9. あるいは無難な汎用パーカッション・ループで妥協するか、クオンタイズ無しで自分で叩くか。「後者は実際にリズム感のある人たちに任せる」。ここで章題「It's a trap」。自分みたいな年寄りはあのレトロな質感が大好きだが、この数十年で状況は根本的に変わった。
  10. 変わったのは特にハイハットとキックのモチーフ。サンプルのトランスポーズと、いわゆるロール/リトリガー/ラチェットができるDAWかハードウェアを使うこと。例のバックビートをまた使い、今度はクローズドハイハットを全ステップに置いて、そこにリトリガーを仕込む。
  11. リトリガーがやっているのは、シーケンサーの1ステップを庭の散水スプリンクラーに変えることだけ。ハイハットのランダムな箇所に、速度を変えて仕込む。長い808サンプルはミックスをぶち壊すことで有名だが、思い切りサチュレーションをかけて「これまでどのキックも行ったことのない場所へ」ピッチを飛ばしてやれば最高のベース素材になる。
  12. 章題「The soundtrack for self-medication」。みんなが待っていたビート、作るのは簡単だが極めるのは難しいやつ。テンポは自分の年齢に応じて選ぶこと。バスドラムを1・5・9・13ステップに置く。そのパターンをコピーして2ステップ右にずらし、遅いハイハットにする。
  13. さらに16ステップ全部を速いハイハットで埋める。昔のドラムマシンにはアクセントトラックというものがあって、各ヒットを「デカい」か「もっとデカい」かのどちらかにできた。ここではその再現として、ハイハットの16分音符を1つおきに少しだけ音量を下げる。冒頭のバックビートも打ち込む — 今回はスネアの代わりにクラップで。
  14. このやや機械的なビートは、たとえば不規則なリズムを刻むライドや、ベースラインのチュートリアル回で使った「ウンパルンパ・タム」で開けてやれる。これを自分は「16ステップの幻想」と呼んでいる — もうビートに聞こえるが、まだビートではない。1小節だけで押し切れる人間もいるが、我々ただの人間は4小節か8小節になるまでこれを複製する必要がある。
  15. 第1章と同じで、1小節目の頭に置いたものはアレンジを詰まらせずに場を整えてくれる。あとは好みで音を足す — ただし足しすぎない。ファンク感とフィル用の小さいスネア、たまにリムショット、そしてもちろんカウベル。基本はキック・スネア・遅いハイハットが既に占有しているステップは避ける。
  16. ただしドラムヒットを消したり、ずらしたり、音程のある要素をこっそり混ぜたりするのを恐れないこと。ここで章題「The one that didn't age so well」。「さっさと片付けよう」。テンポは140に設定、ただしこの回で唯一の知的挑戦として、全体を70 BPMのつもりで数える。
  17. 極悪なスネアをバックビートに、そしてAC/DCのドラマーが叩いているみたいな容赦ないキックを1拍目に。あとは素朴なハイハットとクラッシュ、それとDAWの付属ライブラリで見つけたパーカッション・ループ。デモ用にMassiveのプリセットも足しておく。
  18. 「あとは自分のDeLoreanにフラックス・コンペンセーターを積んで2010年に飛び、Skrillexにまともな職を世話して、ヘッドライナーとしてのライブ人生に備えるだけだ」。このジャンルのUKの先駆者たちは、少なくともスウィングを少し入れる程度の良識はあった、という流れで章題「Cheat codes: swing」へ。使い道の分からない古びたグルーヴボックスが手に入ると、自分はまずテンポを126にする。
  19. 四つ打ちを組み、速いハイハットとファンキーな細かいパーツを入れ、そして何より健康に悪い量のスウィングをかける。これで人は即座に踊りたくなる。次の章題「Cheat codes: ユークリッド・パターン」。
  20. 「これがヨーロッパの連中が語るのをやめられないやつ」。20年前の学術論文が、紀元前3世紀のギリシャの数学者が定義したアルゴリズムの出力と、多様な文化圏のミュージシャンが使うリズムパターンとの間に驚くべき類似があると結論づけた、という話。やることはパターンに入れたいドラムの数と、それをどれだけずらすかを決めるだけ。
  21. 締め。「お前の好きなビートのカテゴリーを入れなかったことについて、コメント欄で好きに叩いてくれ」。高評価・チャンネル登録・Patreon、そして概要欄のリンクを使ってくれればチャンネルの助けになる、と例によって早口で言い切って終わる。