この回の結論
「で、どう思うかって?」の後に続くのは機材評ではなく、「正直、こんなくだらないのはもう十分だ」の一言。そのまま「見てくれてありがとう、また次回」で強制終了する。いつもの Verdict 構造そのものがローストの被害に遭って成立しなかった、というのがこの回のオチ。
何を喋っているか
- インタビュー調の導入。「よく来てくれた。あれだけの目に遭った後だ、簡単じゃなかっただろう。Bad Gear チャンネルで君に何があったか話してくれるか」と、被害者聴取のような入り。そこからいつもの「世界で最も嫌われているオーディオ機材の番組へようこそ」。
- 今日扱う「機材」は Bad Gear そのもの。ロックダウン中の自己瞑想用サウンドトラックとして始まり、Bandcamp の月間リスナー1人という人々の GAS を治す手軽な方法だった(「もっと安くて良い方法があると思うがね」)。それが中年男が黒Tシャツしか着ない口実に変わり、反復テクノビートと薄っぺらいポップカルチャー引用でニッチな視聴者を恐怖に陥れている、と告発される。
- 「結局、我々に既に2回買って売った機材へ時間と金を使わせている。なんという gas hole だ」(GAS + クソ野郎のダブルミーニング)。一見すべて条件は揃っているが、正直に言えば Binging with Babish のオーディオオタク版の粗悪なパクリで、hate screen は Honest Trailers からの丸パクリ。編集スタイルは Louis Cole と HOBO と Davie504 から盗んだもの。
- 「ただし彼らの才能は一切持たずに」。仕上げは synth memes から盗んだミームの寄せ集め(「半分は俺が作ったやつだ」)、各エピソードは古典演劇の構造そのまま。見た目は「Les Grossman を演じる Tom Cruise になろうとしている人」。しょうもない DAWless ジャムを人に聴かせるための、史上最も手の込んだ手段だと切り捨てられる。
- 「まあバンコクの Golden Eagle でセレブ相手にミキシングコンソールを触って下積みはしたんだろうがな」。続いて「フローリアンの各時代」の分類が始まる。照明の悪い、ヘッドライトに照らされた鹿みたいな初期=Behringer 100ユーロチャレンジ期。妙にリラックスした「もうどうでもいい」期=オリジナルの DrumBrute 回。エスプレッソ点滴フル稼働期=Arturia の Brute 回。
- 訛りが濃すぎて複数の視聴者から「もっとゆっくり話してくれ」と言われた DR-202 回、そして最後に完全ミーム乗っ取り期。さらに「本当におかしくなったのは良い機材を Bad Gear で扱い始めた時だ」— KORG microKORG、Yamaha DX7、Elektron Digitakt、JX-8P。Moog DFAM 回は「Moog という聖なる名に泥を投げてはいけない」と怒られ、最悪だったのはあのくだらない KORG の回だと断じられる。
- 「そろそろ部屋の中のオーストリア象に触れよう」。Bad Gear の最悪の点は英語という言語への容赦ない殺戮。V と W の混同にはもう全員慣れたが、彼は一度、複数言語を話す者全員にとっての大罪を犯した — epitome を「エピトーム」と読んだ。以後その音声が連打される。
- 「おいアレックス、フローリアンに少し不公平じゃないか」「彼の症状を考えたら仕方ない」「症状って何の話だ」— まずオーストリア訛り。フローリアンは集中を切らすとただの Arnold Schwarzenegger になる。その実演として「この Yamaha を聴いてくれ、素晴らしく時代を超えたアナログ楽器で、価値は落ちない」の音声が流れ、「でも見た目は Moby のままだけどな」「俺は逆の方がよかった」。
- 「それを克服しただけでも奇跡だが、もっとひどいのは持病だ。彼の脳内では昼夜を問わず LFO が回り続けていて、不幸なことにそれが声のピッチに配線されている」。証拠として「ウォームアップ時間を長く見積もる必要があり、C6 と電圧計を使ったキャリブレーション手順がある」という音声が再生される。
- 「待て、それ、俺がドイツ語訛りをネタにするのを止めるためのでっち上げじゃないか?クランペットと紅茶でもいかが?」で寸劇が終了。被害者側の弁「正直、何に足を突っ込むかは分かってた。露出が必要だったんだ、じゃなきゃ飢え死にする」。続いて「オンライン・ヘイト入門 101 へようこそ、Professor Beau です」と講義パートに移り、匿名性がオンライン・ヘイトを説明できるのか、多因子モデルが必要なのかを論じ始める。
- 講義の結論は投げっぱなし — 「Bad Gear はオンライン・ヘイトを煽っているのか、それとも単にその反映にすぎないのか。以上、解散」。そして番組の定型に戻り、今日のイントロ曲を演奏したゲストを紹介、「少なくとも1つは bad gear を見た。彼の史上最も壮大な機材バトルが番組のコンセプトを守るかどうか確かめよう」。
- 音楽パート。演奏と「basketball」の掛け声のみで、字幕はほぼ機能していない。
- 観客席のツッコミ。「Loopop が Karl Marx みたいな見た目だとは知らなかったし、スラップベースを弾けるとも知らなかった」「そもそも会場を間違えてないか?ポスターには『Zoomer 向けの Dr. Mix』って書いてあったぞ」「でも音楽はこっちの方がマシだ」。「次のコーナーはもう少し俺たちの好みだといいが」「好みが『リサーチケミカルを決めてからファンタジアを観ること』ならな」。
- 音楽パート続き。字幕は「imagine it」以外ほぼ拾えていない。
- 「Jeremy や Andrew Huang みたいなイケてる連中の再生回数うんぬん、そう、ここに大アンチがいるぞ」。「Bad Gear が他の YouTube チャンネルからパクってないものって何かあるのか?」「まあ少なくとも YouTube のシンセ神から借りてるわけだ」。「彼は、平均視聴者より年上のミームを連投しても視聴維持率の高い動画が作れることの証明だ」。続いて「この番組は長年80年代の音楽制作を再現しようとして何度も失敗してきた。そろそろ本物のプロにやらせよう」と、巨大な19インチ・シンセラックへの頌歌かつ筋トレ用モチベーション曲を紹介(演者名は字幕が崩れていて判読不能)。
- その曲の演奏。終わって Verdict へ — 「で、どう思うかだが、正直に言うとこんなくだらないのはもううんざりだ。見てくれてありがとう、また次回」。結論パートが結論を放棄して終わる。
- エンディング曲。「彼は変わってしまった、美しいプリセットは消えた」。
- 「かつてはあれほど超越的に歌っていたのに、今ではアイスクリームだのキューバの子守唄だのを弾いているだけ」で終幕。