Model:Recycled — 技術の使い回し

Bad Gear - Elektron Syntakt - Model:Recycled

この回の結論

Elektron 機材の話になると自分にバイアスがかかるのはもう明らかで、Digitakt は定番のジャムマシンだし、この多用途さと澄んだ音質が好きなのは公然の秘密だ。とはいえ Syntakt が批判を集めているのには理由があり、しかも不幸なことに、Elektron がそれを直さないほうがビジネス的には完全に筋が通っている。基本的なサンプリングと、同一エンジンを結合して本物のポリフォニーを出す機能の実装はさほど難しくないはずだが、それをやると Digitakt や Analog Four の売上を食う。制限が後味として残るのは確かだが、これは自分にとって非常に高くつくエピソードになったかもしれない。

何を喋っているか

  1. 番組冒頭。シンセメーカーには3種類いる、という分類から入る。1つ目は「経理屋が考えた思いつきの製品をランダムに出してくる大手」。
  2. 2つ目は「名前を言ってはいけないあの会社」。欲しいものをそのまま売ってきて、シンセ界を1989年の地元のチラシ広告みたいにする。3つ目は「ベンチャーキャピタルが乗り込んできて本気の投資回収を要求するまでは革新を進めるブランド」。今日は Syntakt。2022年のグルーブボックスで、見た目は Digitakt ベース、中身は Elektron がまだクールだった時代の技術の寄せ集め、お値段は「血の署名」。
  3. 価格の続き。「長子の差し出し」と「オカルト系オンライン結社の終身会員権」付き。「一目で即買い決定」。Syntakt はダークな三位一体の邪悪な双子箱の要件を全部満たしている。プリセットパターンはシーケンサーの見本市と、愛嬌のあるおふざけの間を行ったり来たり。
  4. 構成はアナログ4ボイス + デジタル8ボイス。アナログのうち3つは同一仕様で、キック・スネア・リムショットの豊富な選択肢、デジタルノイズジェネレータ、そしてリングモジュレーション付きのデュアルオシレータという本格シンセを備える。
  5. さらにアナログ FM。音作りの機能セットは驚くほど網羅的で、しかも弄りやすい。残る1基のアナログマシンはハイハット・シンバルなど金属系サウンド専用。アナログオシレータとフィルタの作り込みは……
  6. ……緻密すぎて、デジタルマシンと聞き分けるのが難しいことがしばしばある。デジタル側はまた別のプロっぽいドラム音色群に割り当てられていて、クラップ、音程付きパーカッション、そしてチープさの度合いが色々なシンセ音
  7. あらかじめ用意された和音もの。この作り置きコードを除くと、Syntakt の音源は全部モノフォニック。回避策は見つけられるが、ネイティブなポリフォニックモードはおろか、基本的な演奏可能パラフォニーすら無いのは、これだけ機能を積んだエンジンを考えると本当に痛い制限。
  8. デジタル音を温めたい、外部オーディオを処理したい、アナログ音をさらに壊したいなら、独自のシーケンスと柔軟なルーティングを持つアナログ FX チェーンに全部通せる。音源ユニット1つ1つに専用の LFO 2基と、アンプ用・フィルタ用のエンベロープが付く。
  9. Elektron のリバーブとディレイは昔から好きだ。Digitakt や Digitone を使ったことがあれば即座に馴染むし、根底の思想が肌に合わなくても、途方もなく強力なのは認めざるを得ない。さんざん議論された64ステップのパターン長という制限も、確率とパラメータロック、
  10. リトリガー、フィルという闇の秘術で回避できる。ショートカット・ワークフローの裏技・キーコンビネーションが山ほどあって、要するに「上手くなれ (笑)」。とはいえ単純なビートを叩き出すのは簡単だし、ついにソングモードが来た。非クオンタイズ録音とマイクロタイミングで Dilla 風の打ち込みもできるし、専用のトリガーモディファイアボタンは評価している。
  11. ボタンの話。相変わらず気持ちよくカチカチ鳴るが、ベロシティはない。他の古典的な Elektron の制限 / 機能としては、複数アウト無し、Overbridge によるハイテクなコンピュータ連携、MIDI で外部機材を鳴らすには内部エンジンを犠牲にしなければならない点。Digitone のアルペジエータと、
  12. Digitakt の優秀なマスターコンプが無いのが寂しい。スケールモードは良い。言うまでもなく Elektron は「takt / tone」3台全部を買わせたがっている。サンプリング、ポリフォニー、本物の減算合成という20世紀末の音楽制作の恩恵が欲しいなら、3台セットで2,700ドル超。展示機を貸してくれた Klangfarbe に感謝。
  13. Elektron は洗練された、そして値の張る制作/ライブ用マシンで知られる。Syntakt は本物の革新なのか、既存技術の焼き直しなのか。今日のイントロ曲は既にこのマシンで作ったもの。この用途に理想的な楽器とは言えないが、確実にパンチはある。エンジンが多すぎて最初は圧倒される。まずは最初の実験を聴いてみよう。
  14. 1本目のジャム。演奏後、「まあチャート入りする代物ではない」と自己申告。
  15. それでもこの楽器の守備範囲の広さは垣間見える。追加されたライブパフォーマンス機能は良いが、この膨大な音源コレクションを使いこなすには時間がかかりそう。もう少し深く行くため、単一ステレオアウトという制限を回避すべく古典的なドラムマシンを足す。
  16. 2本目のジャム後、「こういうのなら賛同できる」。デジタルもアナログも音源は素晴らしい。ただしアナログのほうは人によってはクリーンすぎるかもしれない。
  17. 古代の Alesis を足してみると、サンプルベースのエンジンが数個あればこのマシンは全く別次元に行けたと分かる。前のジャムはもう本物のレコードに近い音になっていた。ならもっと押し上げられるか——「科学的に正確な、透き通ったテックハウスの周期表」のために。
  18. Verdict 開始。Elektron 機材の話になると自分にバイアスがかかるのは、もう明らかになったと思う。Digitakt は定番のジャムマシンで、
  19. この多用途さと澄み切った音質が好きなのは公然の秘密。とはいえ Syntakt が批判を集めているのには理由があり、しかも不幸なことに、少なくともビジネス的には Elektron がそれを直さないほうが完全に筋が通っている。基本的なサンプリングと、同一エンジンを束ねて本物のポリフォニーを出す機能の実装は大した難題ではないはずだが、それをやると Digitakt や Analog Four の売上を食う。
  20. こうした制限が後味として残るとはいえ、「今回は自分にとって非常に高くつくエピソードになったかもしれない」 (= 結局買う)。締めの挨拶と、いつもの高評価・チャンネル登録・Patreon・次に見たい機材のコメント募集。