この回の結論
Massive は自分のお気に入りシンセの一つで、その理由は他の人が JP-8000 や初期の Nord を好むのと同じ種類のものだ。何十年にもわたって計り知れない時間を注ぎ込んできたし、良くも悪くも実際にリリースされた無数のレコードで使われ、今でもちゃんと仕事をする。ただしさっき挙げたハードのクラシックと同じで音のクセが非常に強く、そこから逃げるのが難しい。現代のプラグイン強豪や、同じくらい古いソフトが持つ透明な音質と豊富な機能には到底かなわない。Absynth にやったのと同じことを Massive にはやらないでほしい。もっとも、そうなったら古い Apple G5 を手に入れて、すべての始まりだった昔のバックアップコピーを入れる口実にはなる。
何を喋っているか
- 「世界で最も嫌われているオーディオ機材の番組へようこそ」。Roland や KORG のような象徴的ハードウェアブランドに匹敵する影響力を電子音楽に持つソフト会社は多くないが、Native Instruments は間違いなくその一つ。サンプリングの業界標準を定義し、ボックス内モジュラーシンセシスを確立し、FM をあまりにも簡単にしてしまった。
- 今日の題材は Massive。2006 年のウェーブテーブル・ソフトシンセにしてSkrillex の最初の 3 枚の EP の実質的なゴーストライター。番組で扱うのは文字通り遅すぎたくらいで、例のベンチャーキャピタルによる大混乱 (fuster cluck) と Absynth の生産終了のあとでは、このクラシックなプラグインが現代の PC でまともに動かなくなるのは数ヶ月の問題でしかない。
- 一見すると 2000 年代のソフト UI は今でも要件を満たしている。圧倒的な量のコントロールとモジュレーター/パッチ設定の多数のタブは、プリセットブラウザと 8 つのマクロコントロールで緩和されている。そのマクロは、実際にシンセをプログラムできるようになる前の自分の尻を救ってくれた。
- Massive のアーキテクチャは現代の競合と比べると比較的オーソドックス。ウェーブテーブルのセットは小さく拡張不可。VA の定番からハイパーデジタルな EDM 系まで揃った波形を 3 つのオシレータースロットに読み込める。
- 3 基のオシレーターに加え、いい感じにいじれるノイズジェネレーターと、リングモジュレーションやその他あらゆる悪ふざけに使えるモジュレーションオシレーターが付く。自由にルーティングできるフィードバックパラメーターはシンセをコンフォートゾーンの外に引きずり出すのに最適。
- これらの生の音がデュアルフィルターセクションに入る。シリアルとパラレルの処理が可能で、フレーバーはバニラからフレンチ、そしてアシッドまで。
- Massive がブロステップの元祖シンセである理由がここにある。いまだに完全には理解できていない複雑でループ可能な 4 つのエンベロープに加え、超深い LFO とシーケンサー的な 2 つのモードに設定できる 4 つのモジュレーターがあり、容赦ない wub と wobble を吐き出す。
- もちろん本物の音楽にも使える。パラメーターへのアサインは快適そのもので、十字マークをモジュレートしたい対象にドラッグ&ドロップするだけ。強度をダイヤルで決め、サイドチェーン機能でモジュレーション自体をさらにモジュレートできる。
- パッチ設定タブは見た目以上の中身がある。内部オシレーターエンベロープ、オシレーター位相調整、フィルターとオシレーター両方の非常に複雑なキートラッキング、ユニゾンパラメーターの調整、便利なランダマイズ機能。定番エフェクトの実装も良く、2 つのインサートエフェクトで嫌らしい音破壊アルゴリズムを信号経路に足せる。
- 他人や未来の自分がいじりやすくするためにマクロを簡単にアサインでき、MIDI 実装も十分以上。ほぼ 20 年経った今でも最大 64 ボイスのポリフォニーは現代のコンピューターを忙しくさせる。特にウルトラのオーバーサンプリングモードでは。
- 単体だとやや高価だが、Komplete パッケージには全部入っている。だって「コンプリート」ってそういうことだろ。NI の製品を何十年も使ってきたが、後継の Massive X が欲しいと感じたことは一度もない。Sylenth1 ともう一本 (字幕は聞き取れず) と並んで、Massive は 21 世紀の電子音楽に実際に影響を与えたシンセプラグインの不浄なる三位一体を成している。時代を超えた名機か、それとも去年流行っただけの道具か。
- 今日のイントロ曲ですでに Massive を聴いている。「朝のデジタル波形の匂いは格別だ」。それ以外はアナログのジャム環境の中で、どう失敗するかを確かめる時間。
- クラシックな Moog ベースのデジタル近似としてはかなりまとも。古代のウェーブテーブル・プラグインとしては十分許容範囲。よくいじれるしスイートスポットも広い。Massive は 2010 年代の、あまり上手く歳を取らなかったジャンル群と結び付けられがち。
- ならばもう腹をくくって、ドラムも含めた全部の音を Massive だけで作る。
- 「思ったほど悪くなかった」。ドラムには Serum のサンプルオシレーターがあれば便利だったのは確かだが、アレンジの全パートを Massive で成立させられる。プリセットの中にはそれ自体が伝説になったものもある。次はこのプラグインのデジタルな下品さをどこまで押し込めるか、この素晴らしく堕落した MIDI オートメーションによるウェーブテーブルの残虐行為で確かめる。
- Verdict。Massive は自分のお気に入りシンセの一つで、その理由は他の人が JP-8000 や初期の Nord を好むのと同じ種類のものだ。
- 何十年も計り知れない時間を注ぎ込んできた。良くも悪くも実際にリリースされた無数のレコードで使われ、今でも仕事をこなす。ただしハードのクラシック同様に音のクセが強すぎて逃げ場がなく、現代のプラグイン強豪や同世代の古いソフトの透明な音質・豊富な機能にはかなわない。
- 「Absynth にやったのと同じことを Massive にはやらないでほしい。まあ、そうなったら古い Apple G5 を買って全ての始まりだった昔のバックアップを入れる口実にはなるが」。視聴の礼を述べ、いいね・登録・Patreon 支援と、次に見たい機材のコメントを募る。
- 恒例の月イチ・ボコーダー shout out。「時代遅れの NI Komplete ではボコーダーのセットアップを組むのに惨めなほど失敗したので」、代わりに倍音豊かな Lyra-8 の音をキャリア信号として使う。tier 4 からパトロン名を読み上げていく。
- tier 6 のパトロン名まで読み上げ、支援への感謝と「また来月」で締める。