ヌーブ (初心者) ベース

Bad Gear - Korg Volca Nubass - The Noobass

この回の結論

KORG Volca Nubass は奇妙な楽器だ。いじっている最中は「濁り」と「太さ」の間でバランスを取るのに苦労したのに、出来上がった結果には気持ちよく裏切られた。本物の TB から想像するより暗く、ザラつき、しばしば多彩だ。ただしシンセ本体よりはるかに重要な問題が一つある。この名前は、KORG が例の Volca ミームを全部わかっている証拠と見なしていいのか?

何を喋っているか

  1. 世界一嫌われたオーディオ機材の番組へようこそ。真空管 — tube、valve、ドイツ語話者なら Elektronenröhre — は普通シンセオタクの関心の的ではない。
  2. チューブ録音機材や Technophonium みたいな息を呑むスチームパンク楽器はあるが、電子楽器の大半はソリッドステート。だが KORG は 2000 年代の electribe に怪しげな低電圧チューブ回路を積み始めた。理由は2つ、サチュレーションを足すためと、見た目が最高にカッコよくなるため。今回は 2020 年発売の 303 系シンセ、KORG Volca Nubass。
  3. 皮肉屋なら「チューブ商法の次世代」と呼ぶであろう KORG の新型チューブ Nutube。チップみたいな部品で、小さく省電力、しかも実際に光る。「俺の BS センサーがビリビリ鳴ってる」。一見して Nubass は全部盛りだ。Futurama の冷凍睡眠チャンバーを縮めたようなパーツが「音の温かみ」を伝えるらしく、ありがたいほどデカいカットオフノブも付く。
  4. 303 の枠を超えたシンセエンジン要素も載る。チューブ機材の専門家ではないと断りつつ調査結果を披露 — Nutube の中身は、古い VCR や 90 年代 Mercury Grand Marquis のダッシュボードで見かける蛍光表示管 (VFD) に極めて近い。1966 年に Noritake Itron が発明した技術だ。
  5. その Noritake Itron が KORG と組んで Nutube を開発した。Handbook of Visual Display Technology は VFD を実際の真空管と認めている。ゲインは大きくないが低消費電力・長寿命で、倍音構成は本物にかなり近いとされる。KORG は Nutube をオーバードライブペダルやコンパクトなヘッドホンアンプに突っ込んでおり、VOX アンプなど他社機材でも見かける。この Volca に載る 1 本の Nutube は 2 つの仕事をしている。
  6. 1 つはメインオシレーターの 2 波形の生成 — 「俺の趣味には似すぎて聞こえる」2 波形。もう 1 つはサブオシレーターの色付け。SF 風のチューブ用棺桶の中には小さな LED も入っている。この生々しくファズっぽい音をラダーフィルターで形にしていく。
  7. ここは良い。KORG は 303 的なエンベロープ構成にアタックのパラメーターと long sustain オプションを追加した。シンクでき、扱いやすい LFO セクションの融通の利き方も気に入っている。
  8. さらにドライブ段でサチュレーションを追加できる。アシッド通なら、303 の音を決めているのはシンセエンジンと同じくらいシーケンサーだと知っている。Nubass はその点で期待を裏切らない。アクセントとスライドは必須装備。
  9. おまけ機能も景気よく積まれている。スイング、アクセントのランダマイズ、パターンのずらし、そして KORG 御用達の active step とモーションレコーディング。ただしクロマチックにトランスポーズできるパターンを期待していたのに、実際はステップごとのオクターブ指定のみ。MIDI でアクセントをトリガーする方法も見つからなかった。
  10. パターンチェインで 16 ステップより長いモチーフは組める。それ以外はどこまでも「いつもの Volca」だ — ショボい内蔵スピーカー、極小ノブ、MIDI OUT なし、ミニジャック、電池ボックス。しかも現行の Volca ファミリーで一番高い。303 系の楽器は超忠実な複製から「原型をゆるく参考にしただけ」まで、市場に溢れかえっている。
  11. そこに Nubass は何か新しいものを持ち込むのか。冒頭のイントロ曲で既に鳴っていた — ロングトーンには向かないが、アレンジの主役としてはよく機能する。まずは Volca だけのジャムから。
  12. 「お気に入りの Volca はある。Nubass ではない。」サチュレートしたトーンにも居場所はあるが、クラシックなベースラインシンセ特有の squelch と液体みたいな音色が足りない。
  13. シーケンサーは非常にグルーヴィー。次は Volca エコシステムの外に出しても生き残れるのかを確かめる。
  14. 「間違いなくハマる」。ここではもっとクリーンな音にしたかったが、そもそもクリーンさ目当てで買うシンセではない。Nubass はアシッドシンセとして売られた機材なので、本物の 303 にできないことができるかを試す — 「モノシンセの暗黒面へようこそ、ディスコファンクの Robin roll」。
  15. デモ演奏を挟んで Verdict へ。
  16. Verdict。Nubass は奇妙な楽器だ。いじっている間は「濁り」と「太さ」の間でバランスを取るのに苦労したのに、出来上がった結果には気持ちよく裏切られた — 本物の TB から想像するより暗く、ザラつき、しばしば多彩。だがシンセ本体よりはるかに重要な問題が一つある。この名前は、KORG が例の Volca ミームを全部わかっている証拠と見なしていいのか?
  17. エンディングと Patreon の告知。tier 4 の月イチ企画「ボコーダー・シャウトアウト」では、毎月 bad gear のカタコンベに潜って忘れられた機材を掘り起こす。
  18. この不浄な迷宮の最も呪われた一角で、自分の古い Windows XP マシンを発掘した。そこに入っていた 90 年代のボコーダープラグインについては「UI は弁護士に口外するなと言われている」。
  19. 続いて Quasimidi Sirius。プラグインと同じ年の製品なので、実機の方が本当に音が良いのかを確かめる。
  20. 支援への感謝と、また来月、で締め。