本当に悪いのか?

Bad Gear - It's really Bad?

この回の結論

仮に SH-4d が最先端技術の塊で、現代的なワークフローに最適化されていて、競合や Roland が今売ろうとしているキーボード付きプラグインホストと同格だとしよう。そして何百というジャムとトラックで Roland を使ってきた自分がこの箱から気に入る音を一切引き出せないのは完全に自分の落ち度だとしよう — それは十分あり得る。ただし、4D が魂のない、雑に組み上げられたアルゴリズムの埋立地で、直感に反するワークフローと退屈なトーンのせいで俺のような筋金入りの Roland ファンすら奮い立たせられない、という可能性も同じくらいある。この愚痴で Roland の早期アクセス・インフルエンサーリストに名前が載る細い望みは完全に消えた。最近の「Bad Gear 直行シンセ」の充実ぶりを思うと惜しい話だ。

何を喋っているか

  1. 世界で最も嫌われたオーディオ機材の番組へようこそ。Roland が本当に得意なことは三つある — スタイル、マーケティング、そして誰も最初から興味を持っていなかった技術のリサイクルだ。加えてレトロなディスプレイとメニュー潜りに支えられた、比類なきヴィンテージ感。
  2. 今回は SH-4d。新品なのに入手困難なマルチエンジンのシンセ兼グルーヴボックスという珍妙な代物で、Roland の極みと言える。VHS 直行の SF C 級映画みたいなデザイン、劣化版 ZEN-Core アーキテクチャ、そして Syntakt より多いノブを積んでいるのにロナルド・レーガンがまだ大統領やってるみたいな UI
  3. 一見すると新しい SH は全項目クリアしている。たっぷりのメニュー潜り。Jupiter-Xm 由来のグリッドにバックライト付きキーが載り、シーケンサー操作と半音階演奏ができる — 「D♭ が無いのを気にしなければ」。そして山盛りのノブ。
  4. パートのボリュームとオシレーターのパラメーターを操作するスライダー群。デモ演奏を挟む。
  5. スライダーの手触りは思想的な先祖である SH-32 のものより上等だが、数は減っている。エンジンは現行 Roland シンセ群と Roland Cloud (ギア好きを鎮めるための VR シミュレーター) で使われている ZEN-Core。合計 60 ボイス、11 種類のオシレーター
  6. 「グレイテスト・ヒッツ」的オシレーターが 4 つ、ボディシェイミング的な「太らせる」オプション付き。3 オシレーター + 追加 LFO。シンク、非 ACB の SH-101 と Juno-106。
  7. FM とリングモジュレーション、ウェーブテーブル、コードオシレーター、お絵かき (Etch A Sketch) 式の波形生成、そして最後に LA シンセシス由来のサンプルプレイヤー。サンプルと言っても、自前の PCM を読み込むことも録音することもできない。
  8. 音はドライブと HPF 付きの、デジタルっぽいがスムーズなフィルターでさらに整形できる。エンベロープ 2 基と LFO セクションは扱いやすい。独立した 4 つのシンセパートに対し、ドラムセクションには専用スライダーが与えられなかった。
  9. ドラムはおそらくサンプルベースで、1 ボイスあたり 2 オシレーター、縮小版のシンセエンジン付き。アナログ・フィールなど音源の追加パラメーターは専用メニュー行き、ミニマルなモジュレーションマトリクスも同様。各パートは EQ で味付けできる。
  10. コーラス・ディレイ・リバーブといった薬味も少々、パート用とマスター用のマルチ FX もある。4D はシンセとして売られているが、この機体はグルーヴボックスのフォースが強い。Roland が最近ほぼ全機種に載せてくるポリフォニック 64 ステップシーケンサー搭載。
  11. 「子供の頃から愛してきた」ノート入力モードは全部入り。モーションレコーディング、プロバビリティ、サブステップ、そこそこ便利なパターン編集。アルペジオもパターンに録音できる。
  12. モーションセンサーの操作感は品質検査を通らなかった Wii リモコンみたいだ。メニューの奥には OP-1 風のビジュアル・アルペジエーターなど、頼んでもいないシーケンス玩具が隠れている。Roland のシンセである以上、UI のガタつきは織り込み済み。基本操作にすら shift 押しっぱなしのキーコンビが山ほど要る。
  13. write 機能は史上最も回りくどい。クオンタイズ無しのシーケンスもメトロノームも (自分の知る限り) 無し、パターンのテイクオーバー・チェイン・リロードも無し、ソングモードも無し。オーディオのグリッチは日常茶飯事。ZEN-Core ベースなのに簡略化されたエンジンは ZEN-Core のパッチ規格と互換が無く、うっかりキーを押したりフェーダーを動かしたりして何度も音を壊した。
  14. ステレオ出力が 1 系統しかないので、旧式のマルチトラック USB ストリーミングは理に適っている。電源は USB か電池。ミックス入力に処理はかけられない。作りはプラスチッキーと堅牢さの奇妙な混合。ダース・ベイダー的な見た目は、同じくらいの価格の KORG drumlogue を思い出させる。機材を貸してくれた Klangfarbe に感謝。
  15. SH-4d のコンセプトは 90 年代のグルーヴボックスと現代のデジタルシンセの奇妙な合体。もっと専門特化した選択肢がある今、こんな楽器に存在意義があるのか? 冒頭のイントロ曲で既に音は聴いている — 自分の趣味には行儀が良すぎるが、仕事はこなす。単体グルーヴボックスとしての実力を確かめる時間だ。
  16. 単体ジャム。現代 Roland の signature サウンドは明らかだが、その中でもかなりドライで中域をスクープした解釈に聞こえる。
  17. ノブだらけのインターフェースは助けになるが、コロコロ変わるフェーダーのアサインと追加のメニュー潜りは相当な興醒め。ワークフローで見れば現代のグルーヴボックスには到底かなわない。「まあシンセとして売られてるんだからな」。ドラムとサンプル再生の専門機を足してみる。
  18. 組み合わせジャム。「またしても、俺が本当に使いたいと思える状態までファームウェアのアップデートが数回分足りない」。PCM の選択肢が少ないのにサンプルのインポートができないのは深刻な欠点だ。
  19. JD-08 や MC-101 のような ZEN-Core 機は心底楽しく使えたのに、4D にはまだ納得させられていない。スタジオ環境で輝かせられるか確かめたい — 「産卵する前に殺せ」か「マーケティングで直せ」か。最悪の全部盛りシンセウェイヴ怪物。
  20. Verdict。仮に SH-4d が素晴らしい音の最先端テクノロジーの塊で、現代的ワークフローに最適化されていると仮定してみよう。
  21. そして、何百というジャムとトラックで Roland を使ってきた自分がこの箱から好きな音を一切出せないのは、完全に自分の落ち度だと仮定しよう — 十分あり得る話だ。だが同じくらい、4D が魂のない、雑に組み上げられたアルゴリズムの埋立地である可能性もある。
  22. 「この愚痴で、Roland の早期アクセス・インフルエンサーリストに名前が載る細い望みは完全に消えた」。最近の「Bad Gear 直行シンセ」の充実ぶりを思うと惜しい。視聴と、いいね・登録・Patreon・コメントのお願いで締め。