ReBirth を実機で組んだ結果

I built ReBirth FOR REAL and this Happened

この回の結論

この実機 retro ReBirth をソフト版そのものと比較したかったが、現代のPCで合法かつ便利に ReBirth を走らせる手段がもう存在しない。構成要素は全部 Roland Cloud で買えるし、似たセットアップはどのDAWでも組めるが、それは同じものではない。そもそも音楽機材業界では、もう誰も知的財産なんて気にしていない。だったら Roland はそろそろ ReBirth を解放すべきだ。

何を喋っているか

  1. 25年間やりたかったことをやる。90年代の象徴的音楽ソフト ReBirth RB-338 を、本物の Roland 実機で現実に再構築する。ソフトのワークフローをオリジナルの TR / TB に移し替えて21世紀に持ってきて、アナログの美しい音を聴いて、そして結局これがあまり良い考えではない理由を突き止める。
  2. ReBirth RB-338 は1997年リリース。当時16歳、初めて触った音楽ソフトであると同時に、電子楽器との初めての遭遇でもあった。開発は Reason で知られるスウェーデンの Propellerhead。リリース版はバーチャルアナログの TB-303 二台と、サンプルベースの TR-808 という構成。
  3. 後に TR-909 と追加のFXが乗った。基本はスタンドアロン設計だが、後期版は ReWire で Cubase に統合できた。ユーザーが独自サンプルを突っ込む方法を見つけるまで時間はかからず、代替スキンも山ほど出回っている。
  4. 2005年に開発終了、その後フリーダウンロードになり、2010年に iOS 版として作り直された。Roland は当初これを黙認していたが、2017年に正式に著作権侵害を主張。Behringer が TD-3 を出す2年前という皮肉。ReBirth シーンは今も健在で、YouTube チャンネル「the world of RB-338」や、複数の古い iMac で動く自作MIDIコントローラ環境を組む Look Mum No Computer がいる。
  5. 実機で ReBirth を組むにはまず壁がある。TB-303 と TR-808 には MIDI がないので DIN Sync を扱えるクロックが要る。それと対応ケーブル一式 — 後者が思っているより厄介な問題だ。TB-303 は一台しか持っていないので、代役に Cyclone TT-303 を使う。これは 909 と同じく DIN Sync 対応。
  6. クロックは ERM Multiclock。両方の規格を扱えるうえ、ReBirth のパターン選択機能をある程度再現でき、しかもヴィンテージの Roland のインターフェースと違ってPCに素直に同期できる。そしてソフトの ReWire 機能を模すには、大量のプリアンプと変換チャンネルが必要になる — 本当に大量に。
  7. 古い BOSS のミキサーの方が80年代末〜90年代初頭のテクノらしいのは認めるが、今日狙っているのはそれではない。24トラック以内に収めるため、TR のタムは内部でモノにまとめて各1chにし、残りは全部 Ableton に個別トラックで録る。モニターミックスは RME TotalMix で作る。
  8. 実機で演奏。Instagram や TikTok 向けのアスペクト比だというのに、このセットアップは大して見栄えがしないし、レイアウトも現実世界にはうまく翻訳されない — 特に経済的な観点から見ると。
  9. ミックスは骨のようにドライだった。ReBirth のトレードマークの音の多くは内蔵FX4種 — 専用プリセットシーケンサ付きフィルター、ディレイ、ディストーション、コンプ — から来ている。まず PCF (Pattern Controlled Filter)。最初は Roland 純正の EF-303 を使おうとしたが、手持ちが壊れていたので、BeatStep Pro の CV で変調する Moog のフィルターペダルにした。
  10. 次は素朴なディレイ。ここは少しズルをして EHX Canyon に BeatStep Pro のドラムゲートからタップテンポを送る。303 を歪ませるなら RAT か Tube Screamer が思い浮かぶが、BOSS DS-1 で外すことはない。
  11. インピーダンス調整にリアンプ用の機材を挟む。オリジナルの ReBirth のコンプは元々好きではなかったので、EHX Platform は間違いなく改善。ReBirth のFXルーティングは意外に柔軟で、単に楽器をペダルに繋ぐだけでは再現にならない。この構成ではFXを全部オーディオインターフェースに繋ぎ、TotalMix 側でほぼ追加レイテンシなしにルーティングと切替をする。
  12. 完成したセットアップでの演奏。
  13. このヴィンテージ機材群がどこから来たのかというと、ここはウィーンの Feedback Underground Studios。メロドラマ調に言うなら、映画『第三の男』で有名なあの観覧車のすぐ隣。この馬鹿げて素晴らしいコレクションへのアクセスに感謝。この実機版と本家ソフトを比較したかったが、現代のPCで合法に、そしてもっと厄介なことに手軽に ReBirth を動かす方法を知らない。
  14. 構成要素は今や全部 Roland Cloud にあるし、似たセットアップはほぼどのDAWでも組める。だが自分の意見では、それは同じものではない。音楽機材業界ではもう誰も知的財産なんて気にしていないのだから、Roland はそろそろ ReBirth を解放する時期だ。
  15. いつもの締め。高評価・登録・Patreon・コメントを。「このチャンネルで他にどんな Bad Gear じゃないネタをやってほしい?」