この回の結論
Verdict は機材ごとに付く。Circuit は「Shut Up And Take My Money」、Jupiter-6 は「stonks」、TR-626 は「これで俺が全部台無しにした (相場が上がる)」、Proteus/1 は「jungle is massive」、DrumBrute Impact は「初代 DrumBrute は今でも◯◯みたいな音がする」、UNO Synth Pro は「Bad Gear の該当回を見ろ」。総じて、値上がりする前に買っておけという回。
何を喋っているか
- 「音楽機材メーカーがぼったくってる」というSNSの騒ぎが続いているので、逆に不当に安すぎるシンセ・グルーヴボックス・ドラムマシンに焦点を当てる回だと宣言。今回扱うものの大半は生産終了品なので、基準は Reverb の中古相場。ただし一部は新品でも驚くほど安く買える。
- 1つ目は Novation Circuit。ハードで音楽を始めたい人に何を買えばいいか聞かれたとき、真っ先に浮かぶのが初代 Circuit。馬鹿みたいな安値で転がっている。ほぼ説明不要で、ミニマルなアレンジをゼロから組むのに必要なものが全部入り — ドラムマシン、シンセ2基、外部機材のトリガーにも使えるポリフォニックシーケンサー、基本的なエフェクト。
- 作りは戦車並みで単三電池数本で動く。シンセ部はやや限定的だし、少しアップグレードした後継機も店で買えるが、この値段なら初代に勝てない。Verdict は「Shut Up And Take My Money」。続いて Elektron Digitakt と Digitone — どちらも現代のクラシックで、両方とも最近後継機が出たおかげで初代がついにコペンハーゲンのビール価格に慣れていない人間にも手が届くようになった。
- セットアップの中心に据えるパワフルな一台が欲しくて、短いモノラルサンプル中心でビートを組むのが苦でないなら Digitakt は迷う理由がない。Digitone は FM シンセへの入門ドラッグとして優秀、ポリフォニーの制約に耐えられるなら。両方 Elektron 印のシーケンサー付き。地元の売買掲示板では「tree fitty」で出ているのを見た。
- それでも 100ドル/ユーロ/ポンド札が6枚ほど手元に残るので、新型を持っていない悔し涙をそれで拭える。次は Waldorf Rocket。歴代でも指折りに好きなシンセで、小型・超簡単、歩行器くらいの値段で買える。基本はモノシンセだがデジタルオシレーター+アナログフィルターの組み合わせで、パラフォニック的な鳴らし方や変な bleep/bloop も出せる。
- シンセ中毒者にはエンベロープの貧弱さとエフェクト無しが物足りないだろうが、極太ベース、王道アルペジオ、ファンキーなコードリック、気持ちいいカットオフいじりは全部こなす。Verdict は「発音は『ヴァルドルフ』だ」。次は Roland Jupiter-6。これは反発を食らうかもしれない、と前置き。1981年の Jupiter-8 は疑いなくシンセ史上最重要級の楽器で 2万ドル超えの相場。
- だがその弟分の Jupiter-6 は、まだ比較的気楽な4桁の領域に収まっている。基礎技術には根本的な違いがあるのは認めるが、ヴィンテージシンセ愛好家の多くはむしろ6の音作りの幅の広さを好むし、MIDI を積んだ最初期のシンセの一つでもある。高価なヴィンテージ機を改造でぶった斬らずに現代のセットアップに統合できる。
- Verdict は「stonks」。前のが予算オーバーだった人向けに、もう一つの今なお安い Roland の名機 TR-626。Roland のドラムマシンは近年の音楽史のあちこちに刺さっているので、デジタル系ですら値上がりしているのは当然。しかし 626 だけはまだガレージセール価格。伝説の TR-707 と 727 の音を合体させたもの。
- 個別出力あり、しかも格上の兄弟機と違ってドラム音のピッチを変えられる。本物のヴィンテージドラムマシンが欲しくて、707 の (確かに素晴らしい) ミキサーを諦められるなら TR-626 が正解。Verdict は「これで俺が全員のために台無しにした」(この動画のせいで相場が上がる)。次は E-mu Proteus/1。
- 一世代の音楽とメディアに深い影響を与えた楽器が今も100ドル以下で買える、というのは滅多に起きない。できることは少ないが、手垢のついた音はミックスにきれいに収まる。特にストリングスが好み。他の古い ROMpler も調べたが、驚いたことに名機もそれ以外の大半も値上がりしていた。
- ポップカルチャーに実際に影響を与えた激安ラック機となると、選択肢は Proteus/1 か Roland U-110 / U-220 くらいしかない。他に古い ROMpler の候補があればコメントで、と呼びかけ。Verdict は「jungle is massive」。次は KORG Electribe ER-1。この番組の常連視聴者なら知っての通り本人はヴィンテージ Electribe 愛好家で、ER-1 は中でも間違いなく最も個性的。
- パワフルで堂々とデジタルなドラムシンセ (Volca Drum 系のものに近い、と言っているように聞こえる) がベース。グルーヴは「エディブルをキメた Bernard Purdie」みたいだ — 特にスウィングを上げたとき。自分のサンプルを読み込めるサードパーティ製ファームウェアもある。2種類あり、違いは主にデザインと製造国。管球入りの上位機 2003年 EMX と違い、初代 Electribe の値段は心臓に悪影響を与えない。
- Verdict は一語で、字幕が潰れて聞き取れない。次は Arturia MicroBrute。Volca 構成からのステップアップでも、アナログ入門でも、机のスペースが限られているなら賢い選択。音がキツめという評判があるがオシレーターのレベルを下げれば行儀よくなる。あの小さなパッチベイのせいで手遅れなユーロラック中毒になるリスクがかなりあるのと、ノブがベタつく個体を掴まないよう注意。
- Verdict は「Agreeable」。この動画2台目の Brute、Arturia DrumBrute Impact。これも歴代屈指のお気に入り。フルアナログ、優秀なシーケンサー、素晴らしい作り、個別出力、触って分かるインターフェース、PC 連携も実用的。しかも例のあいつのクローンではなく独自の味があり、それがまたファンキー。Arturia は1984 Edition を発表したが、中身は同じで塗装違いに見える。
- ダーク版が地元の売買掲示板でUli Behringer が赤面するような値段で出ているのを見た。Verdict は「初代 DrumBrute は今でも◯◯みたいな音がする」。最後は IK Multimedia UNO Synth Pro。少なくとも音に関しては、現行機で最も過小評価されている一台かもしれない。見た目はハンドドライヤーで、UI は microKORG のフロントパネルのゴス版みたいだが、このアナログ・パラフォニックの全体の音は暖かくてファジー。
- レトロな風味を保ったまま仕事をこなす。上位の X 版もあるが誰も気にしなかった。どちらも同じくらいの値段で普通に買え、新品なら概要欄のリンクからどうぞ、と一言。標準の Pro 版の中古価格は笑えるほど安い。ソフトエディター用のライセンス移管ポリシーも緩和された。Verdict は「Bad Gear の該当回を見ろ」。
- 締め。「なぜ Behringer のシンセを一つも入れなかったのか、お気に入りの陰謀論をコメントに書いてくれ」。読んでいる間に高評価・登録を、Patreon には追加コンテンツが色々ある、と定型で終了。