この回の結論
初代 microKORG は当時のゲームチェンジャーだった。90年代末で最も新鮮だった VA シンセを、コンパクトかつ手の届く価格に落とし込み、金の無いアーティストでも自分の音楽に電子音を入れられるようにした一台だ。だが今や駆け出しのミュージシャンには iPad もゲーミング PC もあるし、我らが愛すべきスイスのシグマ男 (Behringer) が「安い」の定義を書き換えてしまった。そもそも単純な減算式エンジンは、現代のサウンドデザインの限界を押し広げる武器としては選ばない。自分は間違いなく初代を使い続ける。そして KORG がゲーミフィケーションというパンドラの箱を開けた以上、2025年には Roland がクラウドにルートボックスを実装してくると覚悟しておこう。
何を喋っているか
- 「世界で最も嫌われているオーディオ機材の続編」の番組へようこそ。映画の続編は評判が悪くなりがちだが、それは必ずしも公平じゃない。Jaws 2 や Alien vs. Predator: Requiem みたいな石打ちの刑にされた名作を嫌うやつがいるか、Requiem は自分のギルティプレジャーだと言い切る。
- 今日は microKORG 2。元祖ヒップスターキーボードの直系にして「直行 Bad Gear」な後継機。初代を偉大にした要素 — 顕微鏡サイズの鍵盤と、フロントパネルの一等地を食い潰すジャンルセレクター — をそのまま引き継ぎ、そこにゲーミフィケーションの恩寵を組み合わせた。一見すると全部の項目にチェックが入っている。
- 実績のある UI アプローチ (=microKORG XL の焼き直し) をデモ。ポリフォニーの話に触れ、「Wish で OP-1 を注文するとこういうのが届く」と一言。ジャンルセレクトの内容については「選定にあたっては絶対に自分に相談すべきだった」。
- 初代 microKORG が実質 MS2000 の詰め替えだったのに対し、2 の VA エンジンについては情報が見つからなかった。ただし全体のトーンは最近の KingKORG の惨事を思い出させる。オシレーターは3基で、標準的な波形にいつものひねりが加わる。
- 古代の DWGS 素材、差し替え不可の PCM ワンショット数種、そして汎用性のあるノイズジェネレーターを搭載。
- フィルターは万人受けする味ではないかもしれないが、はっきりしたデジタルの艶を持って仕事はこなす。エンベロープ2基は自分の好みには少々もっさり。LFO 2基と、整理された6ポイントのモッドマトリクスは十分機能する。崇拝される先代同様、MK2 もバイティンバー仕様。
- 2音色の独立した MIDI コントロールが可能だが、スプリットが無いのは残念。この2ティンバーは、モジュレーション・リバーブ・ディレイを備えた「十分使える」FX セクションに送れる。シーケンサーが無いのは物足りないが、アルペジエーターはありがたい。内蔵のオーディオルーパーもある。
- ルーパーの録音時間は43秒まで。恒例どおりキーボードはボコーダーに変身し、今回はハードチューンとハーモナイザー機能まで付いた (Patreon シャウトアウトで検証する)。そして「2024年 最も無用な機能」大賞は内蔵トロフィー機能に授与される — EQ のパラメーターをいじった程度で小さなドーパミンが出る仕組みだ。
- プリセットは三世代ぶんのシンセ中毒者向けに大量に用意されている。鍵盤と2つの小さなホイールは見た目こそオモチャっぽいが、実際は悪くない。本体は頑丈で軽量。
- 「KORG が MSRP を計算する時に何を吸ってるのか知らんが、自分にもそれを分けてほしい」。初代は史上最も象徴的なシンセの一つだが、続編はその血統に見合うのか、それとも過剰設計の金稼ぎ失敗作か。イントロ曲で既に MK2 の音は聴かせてある。MIDI が半分しか壊れていないのは新鮮だ、と言って恒例のテクノジャムへ。
- テクノジャム。
- 「悪くない」。CS-80 ではないが、モダンなフリーウェアプラグインと同等の使える音がそれなりにあるし、メニューダイブ地獄なワークフローも意外と直感的。ただし楽器としての完成度は少し未完成に感じる。ここでマルチスクリーンジャムへ。
- 「こいつには90年代の気配が濃い」。もっと良い KORG のフィルターは聴いたことがあるが、堂々とデジタルな音、FX まみれの音には強い。鍵盤は初代からの明確な改善点。
- シーケンサーを入れなかったのは残念。DAW の力でこのシンセのポテンシャルを引き出せるか試すため、ジャンルホイールを回して「レトロなコンピューターゲームの続編っぽいドラムンベースのサントラ」を作らせる。
- Verdict。初代 microKORG は当時のゲームチェンジャーだった。90年代末で最も新鮮だった VA シンセを、コンパクトで手の届く形に落とし込み、予算が無いアーティストでも自分の音楽に電子音を入れられるようにした。
- だが今の駆け出しミュージシャンには iPad もゲーミング PC もあるし、我らが愛すべきスイスのシグマ男が「安い」の定義を書き換えた。単純な減算式エンジンは現代のサウンドデザインを押し広げる武器としては選ばない。自分は初代を使い続ける。そして KORG がゲーミフィケーションのパンドラの箱を開けた以上、2025年には Roland がクラウドにルートボックスを実装してくるだろう。
- エンディング。「バッドギアの導師が何を買えと命じてきたとしても」チャンネル支援のリンクを使ってくれ、と定型の締め。そこから月例のボコーダー・シャウトアウトへ。初代 microKORG は自分のお気に入りボコーダーの一つだと明かす。
- 2代目がその名作に追いつけるか確かめる形で、ボコーダー越しに tier 4 の支援者名を読み上げていく。
- 支援者名の読み上げが続く (Thomas Defender ほか)。
- 「初代を使い続ける理由がもう一つ見つかったな」と、ボコーダーの出来にダメ出し。続いて tier 6 の読み上げ。
- 読み上げ終了。支援への感謝と「また来月」で終了。