Boss Dr. Rhythm DR-110

Bad Gear - Boss Dr. Rhythm DR-110

この回の結論

DR-110 が本気で好きだということはもうバレているはず。606 のファンキーな音色とアナログ特有の癖を持ちながら、少しだけ違う音がする — 古典的な TR サウンドがそこら中に溢れている今、これは良いことだ。ただし素の状態では貧弱なシンク、個別出力の不在、簡素な内部ミックスのせいで既存のセットアップに組み込むのが楽ではない。だから使い方は一つしかない。2台買って、片方を改造まみれのフランケンシュタインにし、もう片方は手つかずのまま老後の資金として置いておくこと。

何を喋っているか

  1. 世界一嫌われたオーディオ機材の番組へようこそ。常連視聴者なら知っての通り、乱Dは Roland / Boss — 本人曰く「broland」— の最大級のファンである。
  2. 今回は Boss DR-110 Dr. Rhythm。お気に入りのメーカーが出した最後の完全アナログ・ドラムマシンで、1983年製。ずっと人気の高い TR-606 の弟分とされ、音に共通点はあるがデザインはこっちの方が美しい。専用ヘッドホンアンプ HA-5 無しで真の実力を引き出せるか自信はないが、少なくとも純正の「Roland ドラムマシン・リズム辞典」のコピーは手に入れた。
  3. 見た目は80年代のツボを全部押さえている。オタクっぽい魅力のある80年代の洞窟壁画、TR-707 とよく似たゲーム&ウォッチ風ディスプレイ。この手の機械で「ベロシティ」と呼んでいいかは怪しいが、いい感じのターコイズ色のラバーパッドにベロシティは無い。
  4. パッドで鳴らせるのは、キレはいいが一切いじれないアナログ音源6つ。キック、スネア、開閉2種のハイハット、シンバル、そして『市民ケーン』以来の最高のクラップ(拍手)。豆知識: ウーリー(Behringer)はこのクラップの再現版を RD-6 に積んでいる。
  5. 2種類のハイハットを同時に鳴らすと音色が少し変わる。個別レベルも個別出力も無く、シンバルとハットの音量を他の音に対して変えるブレンドノブがあるだけ。TR-606 は持っていないが、YouTube に非常にためになる比較動画がいくつもある。
  6. 2台の音は明らかに同じではない。606 にはクラップが無く、DR-110 には TR のタムが無い。16ステップシーケンサーは使いやすく、ステップ入力は基本的だが機能する。リアルタイム入力の tap モードはメトロノームが無いせいで実用性に限界がある。
  7. 四つ打ち以外 — 三連やシャッフル系 — を入れるには、パターン長を12ステップに縮めるしかない。これは乱D的には許容範囲。走らせながらのパターン入力は不可で、モードを切り替えるたびにいちいち再生を止めないといけない。アクセントトラックがあり、多少のダイナミクス表現ができる。
  8. そのアクセントは、DR-110 が他の楽器と会話する唯一の手段でもある。トリガーパルスを出力し、元々は SH-101 のようなシンセのアルペジエーターを想定したもの。突っ込んでみた Arturia や KORG の機材はどれも仲良くしてくれた。
  9. 素の状態では他の機材とシンクできないが、MIDI や DIN SYNC の改造は情報が豊富で DIY キットも出回っている。そもそも DR-110 は非常に改造しやすい。プリセットリズムは変更不可の16個、ユーザースロットが16個。
  10. 最大128小節のソングを2つ組めるが、電池を抜いた瞬間に記憶喪失になる。ライン出力は Roland 独自の P-bus 技術ベースで、外部音源をこの機械に通してルーティングでき、前述の HA-5 ヘッドホンアンプとの併用が想定されていた。5ドルのガレージセールで拾える時代はほぼ終わったが、
  11. それでも他のヴィンテージ Roland アナログドラムマシンよりずっと安い。DR-110 は変装した古典 TR ドラムマシンのようなもの。これは最後に残った買える値段の Roland アナログ「隠し玉」なのか? イントロ曲にも Dr. Rhythm を使った。本物の 707 サンプルの代わりにはならないが、素の音は十分戦える。最初のジャムではもっと余白を与えてみる。
  12. 深いキック、スナッピーなスネア、まろやかなハット、そして本当に良いクラップ。DR-110 には Roland の TR がべったり書いてある。いじれないのはこの機械の数ある制約の一つ。エフェクターで音の語彙を広げられるか試したい。
  13. やってみた結果は「Delta 航空の機内トイレ並み」。
  14. 過剰処理と歪んだシンセの音の壁の中でも、ドラムの輪郭はある程度残っていた。「過小評価」という言葉は乱発されがちだが、DR-110 のクラップには本当に当てはまる。というわけで、個別出力と MIDI をフル改造した DR-110 と有り余る時間があったらリリースしていたであろうプロト・ベースミュージック系ネオレイヴで、クラップに主役を張らせる。
  15. Verdict。もうバレているだろうが、乱Dは DR-110 が本気で好きだ。
  16. 606 のファンキーな音色とアナログの癖を持ちつつ、少し違う音がする — 古典 TR サウンドが遍在する今、それは良いことだ。ただし素の状態では、限られたシンク、個別出力の不在、簡素な内部ミックスのせいで既存のセットアップへの統合が楽ではない。まともな使い道は一つしかない
  17. 2台手に入れて、片方は改造まみれのフランケンシュタインに、もう片方は無傷のまま老後の資金として取っておくこと。恒例の免責: この channel の情報は教育・情報提供目的であり、独自の調査とプロのファイナンシャルアドバイザー、あるいはもっとイカれた機材オタクへの相談なしに金銭その他の判断をしないように。