この回の結論
TD-3 はあの象徴的なシルバーボックスをそれなりに忠実に再現した機種で、時々自分のためにならないほど忠実だ。上品なピンクのデザインの傑作を所有できるうえに、クラシックな音の多くは簡単に出せる。そしてシーケンサーの操作を頭に叩き込んだ頃には、もっと現代的なシーケンス概念のありがたみを噛みしめ直すことになる。改造仕様の Oppenheimer Edition も楽しみにしている。
何を喋っているか
- 世界で最も嫌われているオーディオ機材の番組へようこそ。Behringer とメディアの関係はややこしいが、それも今日で変わる。ウーリー・ベリンガー本人からミーム顧問として直々に招かれたと語り出す。
- 招かれた先は、法務チームのブートキャンプのすぐ隣にある要塞化された地下瞑想リトリート。一晩ブレストして生まれた、音楽テクノロジーの顔を永久に変える数多のアイデアの第一弾が「TD-3 Barbie Edition」。中身は大ヒット中のアシッドマシンと技術的に同一で、外装だけが新しくなり、筋金入りの Behringer ファンボーイと、あらゆる性別・年齢の12歳の女の子の両方に刺さるという。
- 「ああ、ウーリーが好きだ」。ぱっと見、必要な項目は全部埋まっている。多国籍非営利コングロマリットならプロトタイプ段階でももう少し繊細さを見せてほしかったが、致命傷はない。鳥が二羽交尾しているみたいなあの伝説の音が鳴る。
- その音を叩き出すのは、中世の拷問器具みたいに超本格的なシーケンサー。仕上げに Boss DS-1 風のディストーションがひと振り。303 プログラミングという古代の秘術を極めたいなら Captain Pan のチュートリアルを見ろ、と勧めつつ手順を解説し始める。
- 手順は、右の P に切り替え、パターンを選んでクリアし、長さを決める (最大16ステップのままでも可)。ピッチモードに入り、廃墟の倉庫で青春を浪費したくなるような半ランダムの音列を入れる。タイムモードで各ステップに16分音符・タイ・休符を割り当て、ピッチモードに戻ってオクターブ移動や、象徴的なスライドとアクセントを足す。
- このぐちゃぐちゃをステップで辿りながら「アシッド、一度もやってない」と一言。タップでタイミングも入れられ、ランダマイザーが楽しい、トラックモードで複数シーケンスを連結できる。モノフォニックのシンセエンジンは、実機の 303 二台同士より 303 に近い。
- 量産版では矩形波にもっと空洞感のある音色を足すようウーリーに掛け合う必要がある。ノコギリ波はドンピシャ。フィルターは高レゾナンス設定でいい仕事をするが、他社の 303 系からもっとパンチのある低レゾ音を聴いたことがあるので完全には納得していない。エンベロープのカーブについても言い分がある。
- 80年代後半から90年代初頭の電子音楽家はモジュラーシンセに気を取られていなかった。我々は違う。というわけで Behringer は基本的な CV/GATE とアナログシンクの端子を追加した。外部オーディオをフィルターに通せるのもいい。
- 慎重に現代化された接続といえば、DIN SYNC は切り捨てられた。5ピン MIDI とパソコン用の USB はある。電源は相変わらず AC アダプターが必要。303 が称賛される「偶然生まれる幸せなプログラミング事故」が趣味に合わないなら Behringer 製のソフトエディターもある。ビルドクオリティは80年代の Roland 機とよく似ている。つまりプラスチックの悪夢。
- Barbie Edition の価格はまだ協議中で、69、420、666 の国際 Behringer トークンのどれかになる予定。本物っぽい 303 系シンセを100ドルちょっとで出したのは確かにゲームチェンジャーだった。この画期的な新デザイン哲学でもう一度やれるか。イントロ曲でも TD-3 は鳴っていて、メインリードは気に入っているが、あの曲が 303 前提で書かれていないのは明らか (「Come on Barbie, let's go party」)。まずは純粋な四つ打ちで。
- エフェクト無しでも TD-3 は十分戦える。ピンクの塗装は、Roland 版のあの核の荒野みたいな緑ともよく合う。矩形波は好みではないので、エフェクターを何台か足して使えるようにできないか試す。
- エフェクトを足したらかなり良くなった。ただし正直に言えば、この分厚いエフェクトの霞の中なら、ゴム製のアヒルでも同じ仕事をこなしていた。MIDI のタイミング問題にも対処する羽目になった。人によってはあれをグルーヴと呼ぶ。時代を超えた設計だ。
- 内蔵ディストーションはこの機種の売りのひとつ。1998年みたいにブチ上げる。スプリンクラーが作動しないこと、そして弁護士が送り込まれてこないことを祈りつつ、アンデッドなベースラインのモノリスを鳴らす。
- Verdict。TD-3 はあの象徴的なシルバーボックスをそれなりに忠実に再現している。ただし時々、自分のためにならないほど忠実だ。
- 上品なピンクのデザインの傑作を所有できるうえ、クラシックな音の多くは簡単に作れる。そしてシーケンサーを理解し終える頃には、より現代的なシーケンス概念のありがたみを再認識することになる。改造版 Oppenheimer Edition も楽しみだ。ここで「この回が実在の製品に基づくものではなく、自分とウーリー・ベリンガーのほぼロマンティックな関係の話がトラック一杯分の馬糞だと仮定してみよう」とネタばらし。
- Tom Oberheim に名前を返してやるほど気前がよく、攻撃的ないじめをありがたくも卒業して完全に普通のガスライティング・マーケティングへ移行し、アナログシンセ市場を単独で独占できる稀有な才能を持つ人物には、この安っぽい YouTube チャンネルに構うよりましな用事があるはずだ。視聴に感謝、また来年。以降はパトロンへのシャウトアウトで、クリスマス回の約束どおりオートチューン芸を披露する。