この回の結論
303 系の音に関して自分はうるさい方ではない。ReBirth が最初の電子楽器だったし、MC-909 も楽しかったし、TB-3 は今や常用モノシンセの一台になっている。それでも TB-03 は「どこかズレている」感じが消えない。作りは楽しいしアシッドラインは短時間でいくらでも出てくるが、兄弟機の 909 と同じで、自分の好みには少しバニラすぎる。ベースラインの玩具が欲しいだけなら安い選択肢がある。ただしアシッドが自分の音楽の中核で、あるいは本気のシンセコレクションから抜け出せなくなっているなら、どうせ 303 の全フレーバーを揃えたくなるはずだ。
何を喋っているか
- 世界で最も嫌われているオーディオ機材の番組 Bad Gear へようこそ。今日は 2017 年の Roland Boutique、TB-03 の話。
- 1981〜84 年に Roland が作った TB-303 は約1万台。アシッドの GOAT、アナログな泡の名付け親、エイリアンとのファーストコンタクトをシンセに転生させた存在。全部が新品同様で残っていたとしても、我々全員には行き渡らない。だから 30 年以上、アナログでもデジタルでも再現の試みが繰り返されてきた。
- その「スクウェルチなベースラインを大衆に」という崇高な使命に、Roland 自身は 30 年以上参加しなかった。ほぼ、だが。ゴシック調の緑と黒の TB-3 のあと、シンセ市場がウーリー化 (Uli-fication) の波に完全に飲まれる直前、じゃーん。
- Roland 機材なしの1ヶ月を経て、TB-03 は自分の要求を全部満たしている。クラシックなシルバー、303 そのものの UI に慎重な改良、そして当然のように FX 追加。部屋の中の象に触れておく: そう Boutique、そう小さい。フルサイズ MIDI は良し、ミニジャックは駄目、デジタル音源はまあいい、電池ボックスは良い、USB 給電はどうでもいい、内蔵スピーカーは興味なし。
- TB-03 はオリジナルの CV/GATE/トリガー入出力を受け継ぎつつ、MIDI と USB でも話ができる。あの独特なモノ音を忠実に再現するための Roland の武器は、JU-06 などの Boutique 同様 ACB (Analog Circuit Behavior)。
- ぶっといベースも柔らかい音も、中域寄りの穏やかなトーンも、レゾナンス高めのチャープも出る。スクエアはあまり好みじゃないが、そういう音であるべきなのかもしれない。オーバードライブは3種類。
- ディレイ2種とリバーブも搭載。303 のシーケンサーは「幸せな事故」が起きやすいことで知られていて、Roland はオリジナルのワークフローと、より扱いやすいステップ入力+リアルタイム入力の両方を載せた。
- シーケンサーを走らせたままパターンを編集できるのは良い。ただアクセントの挙動やスライドのカーブを本家 303 どおりに詰められているかは、自分には判別できない。とはいえそれで終わり。音響合成の知識がゼロでも良いアシッドパターンが作れる。この機材に関しては最大16ステップにも文句は言わない。
- 303 系シンセのソングモードを使ったことがある人はコメントしてくれ。TB-03 はまだ新品で買える。生産終了した兄弟機の中古価格を考えると、今のうちに買っておくのは悪くない判断かもしれない。貸してくれた Groove Bagash Sound System の Mad Fuse に感謝。
- TB-03 はあのモノシンセの Roland 公式の生まれ変わり。無数にある激安の代替品を前にして、まだ存在意義はあるのか。イントロ曲でもう鳴っていて、なんだか聞き覚えのある感じだったはず。まずはワンシンセ+ワンドラムマシンのジャムから。
- この小さな箱にはかなりの 303 感がある。反応は非常に速い。
- すぐに昔のテクノの PTSD が発動する。ただしツマミが小さくて回しづらい。こっちは「45サイズ」の手をしているので。内蔵 FX は自分の好みではない。もっと穏やかな音も出せるのか、年上の兄弟機と本物の Space Echo を組ませて試す。
- テープディレイとスプリングリバーブを足しても、この用途では深みが少し足りない。
- TB-3 も立体感があるとは言えないが、少なくとも 303 以外の面白い音は色々出せる。この差は複雑なアレンジの中で意味を持つのか。90年代の家庭用ゲーム機のブーマー向けレースゲームのサントラを過剰にプロデュースして作り直した「テクノ瞑想」で確かめる。
- Verdict。303 系の音にはうるさくない方だ。ReBirth が自分の最初の電子楽器で、MC-909 も楽しかった。
- TB-3 は常用モノシンセの一台になった。それでも TB-03 は何かがズレている感じが消えない。楽しいしアシッドラインは短時間で量産できるが、兄弟の 909 同様、自分の好みには少しバニラすぎる。ベースラインの玩具が欲しいだけなら安い選択肢がある。
- だが、アシッドが自分の音楽で重要な役割を持つなら、あるいは本格的なシンセコレクションから抜け出せなくなっているなら、どうせ 303 の全フレーバーを手に入れたくなる。視聴に感謝、また次回。高評価・登録・Patreon、そしてどんな機材を見たいかコメントを。