この回の結論
MC-303 は十代の頃に付き合っていた彼氏彼女みたいなものだ。この手の関係が長続きしないのには理由があるが、それでも時々思い出の小道を歩きたくなる。ユーザーインターフェースは威圧的でプリセットの大半は悪夢、それでも17歳の自分が手に入れられなかった音を全部楽しめた。人生は15分を超えるチュートリアルに付き合えるほど長くないので、好きな DAW と組み合わせて音源モジュールとして使うのを勧める。
何を喋っているか
- 世界で最も嫌われているオーディオ機材を扱う番組 Bad Gear へようこそ。今回は Roland MC-303 グルーヴボックス。発売は1996年、プロモビデオが「CIA が水道水にサイケデリックドラッグを混入した」みたいな見た目をしていた時代だ。
- 豆知識。発売当時、みんなが新品の MC-303 を欲しがったが Roland の生産が追いつかず数か月待ちだった。今はどこにでも転がっていて、とんでもない高値を付けて売っている連中もいるが、地元の売買掲示板なら200ドル以下で見つかるはず。一見すると条件は全部揃っている。
- クラシックな Roland サウンド、ハンズオンのコントロール、みんな大好きステップシーケンサー、象徴的なシルバーのデザイン。工場出荷時のパターンは一世代の集合的無意識に焼き付いている。地元のクラブの PA を破壊するための専用 LOW BOOST ノブまで付いている。なのになぜ、ホイッスルとサイリウムを取り上げられたかのように MC-303 を公然と憎む人間がこれほど多いのか。
- 実は冒頭のイントロ曲で MC-303 のプリセットパターン A-01 とドラムサンプルはもう聴かせている。他の楽器のテンポとキーを変えただけで、はい完璧な90年代クリシェの出来上がり。ではこのシルバーの箱に詰まった20世紀末の傑作群を見ていこう。
- プリセットのデモを流して「俺にはヒットレコードに聴こえるけどな」。MC-303 にはチーズくさくて古臭いという評判がある。もっと現代的に聴こえるリアルタイムジャムを絞り出せるか試したい。
- MC-303 単体でのリアルタイムジャム。
- 「やっぱりオールドスクールに聴こえるが、それは俺の問題かもしれない」。批判の中心は奇妙なユーザーインターフェースと急な学習曲線。ここまでの映像では、この機械が実際どう動くのか分からないまま勘でやってきた。
- 「そんなに難しいわけないだろ」と当時のビデオ版取扱説明書を発掘 —— 再生時間100分超。「え、100分?」覚悟を決めて視聴し、その後またジャムへ。
- マニュアルで得た知識を投入した MC-303 のジャム。
- Verdict。MC-303 は十代の頃に付き合っていた彼氏彼女みたいなもので、この手の関係が続かないのには理由があるが、それでも時々思い出の小道を歩きたくなる。UI は威圧的でプリセットの大半は悪夢、それでも17歳の自分が触れられなかった音を全部楽しめた。
- 人生は15分を超えるチュートリアルに付き合えるほど長くないので、好きな DAW と組み合わせて音源モジュールとして使うことを勧める。最後にいつもの、高評価・チャンネル登録と、次に見たい bad gear をコメントで教えてくれという呼びかけ。