この回の結論
Choir は次のハロウィン・クラフトビール試飲会の音と絵の背景としては最高だ。木工の質はトップクラスで、インテリアデザインとしての仕事は素晴らしい。ただしミュージシャン視点では、実験音楽・インスタレーションアート・サラウンド録音以外だと本質的な機能がどれも半焼けで、TE エコシステムの他の高価なギミックを持っていてもワークフローに組み込むのは非常に難しかった。だが心配無用 — TE がいつものパターンを踏襲するなら、倍の値段で本当に動く「Choir field」がそのうち出てくる。
何を喋っているか
- 世界で最も嫌われたオーディオ機材の番組へようこそ。Teenage Engineering は世界を二分する。ある者にとっては完璧なデザインの傑作を授けてくれるテック救世主に転身した革新的企業、またある者にとっては人類が終わっている証拠みたいな高すぎるオモチャを売りつける、限りなく犯罪に近いヒップスター集団。
- 今日はその Choir。2022年発売のこの「歌う木製人形」コレクションは、2007年に酒ブランドがスポンサーしたアートインスタレーションが元ネタで、TE の諸刃の評判をそのまま体現した存在かもしれない。OP-1 のような賛否両論製品にはまだアンチにも認められる長所があったが、これは。
- モジュラー式ボーカルシンセと Patrick Bateman の部屋にありそうなバウハウス風家具の不気味な合いの子で、一目見た瞬間ゾッとする。このモダニスト版チャッキーたちは、叩かれるとパブリックドメインから取った「怪しいところなど何もない」曲を背筋の凍る感じで歌い出すし、そのうえ設定も全部盛りだ。
- 人形はそれぞれ名前・声域・担当する文化を持つ。ベースの Bacon、イタリアのバリトン Carlo (明らかにピノキオへのオマージュ)、ドイツのソプラノ Gisela、オランダのアルト Ivana、古代エジプトを代表するメゾの Hatshepsut、パレスチナのソプラノ Leila、日本から来たテノールの Miki、そしてロシアのコントラルト Olga。
- ネット上には「文化的に無神経だ」というコメントもあったが、TE がキャンセルされるほどではなかった。スタンドアロンでは人形同士が Bluetooth で共謀し、手持ちの体数に応じて勝手にアレンジを組み立てる。もちろん本物の楽器としても使える — 理想は OP-1 field、あるいは他の MIDI 対応 Bluetooth 機器。それは後で。
- 個々の人形の「初音ミク meets ヴォコーダー」的な音は、木製筐体の音響特性と、取り外して USB-C で充電できる小さな Bluetooth スピーカー兼「脳」で作られる。物理コントロールは電源ボタンのみ。
- そのボタンを長押しすると Bluetooth ホストと同期。音量の上げ下げ、再生、黙れ、といった基本コマンドは、本体を傾けたり頭を優しく叩いたりして与える。
- 腹を立ててテーブルを思い切り叩くのもちゃんと効く。デモ曲での表現力は不気味なほど多彩だが、MIDI コントロールはコントロールチェンジ4つだけ — 1がビブラート、2が子音、3が母音、4がリバーブ的なエフェクト。
- 理論上はこれで足りるはずだが、実際には全然便利じゃない。ここまでで音的にはすでに物足りない。しかも事態は悪化する。呪われた合唱団は OP-1 field とは魔法のように連携する — まあ、だいたいは。だが標準的な Bluetooth 機器では苦戦した。
- 手持ちの今どきの Mac は接続できて数音鳴らせたが、その後この不穏な人形たちはまた沈黙。レイテンシーは酷いうえ常に変動する。スタックノートは数え切れず、同期は落ち、演奏の途中で人形が勝手に自分の持ち歌を歌い出す。Roland の A1 がついに役に立つかと期待したが、これでも解決しなかった。
- マニュアルは Roland の IRA シンセに匹敵する出来 (褒めていない)。MIDI と Bluetooth の実装をまとめた有志の GitHub ページがあるのは救いだが、自分のケースでは大して助けにならなかった。OP-1 field の展示機を貸してくれた Klangfarbe に感謝 — このハロウィン級の恐怖のアンサンブルは1体250ドル、フルの合唱団で2000ドル。
- このアンサンブルで実際に音楽を作るのは簡単ではない。本物の楽器なのか、それとも完成曲ゼロの飽和したヒップスター向けの、おしゃれな金巻き上げ装置なのか。人形の声は今日のイントロ曲ですでに聴いている。普通の Bluetooth を動かそうとして丸一日失った後、いよいよ OP-1 field で決着をつける。
- これを「7,000ユーロの問い」と呼ぶ。Choir を音楽制作で本当に使いこなすのは相当な挑戦だ。
- OP-1 field を使ってさえレイテンシーは 50ミリ秒超で、慣れが要る。MIDI モジュレーションやまともなボイスアロケーションをアレンジに組み込む手段も見つからなかったし、合唱団全体の録音も厄介。ここからは恒例の bad gear セットアップでどうなるか。普段のトラック作りの手順はここでは通用しない。
- 音楽のパイを本当に焼けるのは限られた者だけで、我々ごとき人間にできるのはサンプリングして死ぬほど切り刻むことだけ。ハロウィンにはちょっと遅れたが、こいつらは本当に不気味だ。
- Verdict。Choir は次のハロウィン・クラフトビール試飲会の音と絵の背景として最高だ。木工の質はトップクラスで、TE はインテリアデザインの側面では見事な仕事をした。とはいえコンセプト自体は好きだが、ミュージシャン視点、特に実験系ジャンル・インスタレーションアート・サラウンド録音以外では、
- 本質的な機能の多くが中途半端で、TE エコシステムの他の高価なギミックを持っている自分でさえワークフローに組み込むのは非常に難しかった。だが恐れることはない — TE がいつものパターンを踏襲するなら、倍の値段でちゃんと動く「Choir field」がそのうち出てくる。見てくれてありがとう、また次回。
- 高評価・チャンネル登録・Patreon をよろしく。次にどんな機材を取り上げてほしいかコメントで教えてくれ。