プラグインの方が優れている

PLUGINS are BETTER!!!

この回の結論

「ごく一部の唯一無二の音を持つ機材と、作り方そのものを変えるような画期的な機材を除けば、ハードウェアは劣っている。何が起きているかの情報が少ないし、どうせ2つ以上のパラメーターをいじってなどいないだろう」。ただし唯一の欠点として遅延を挙げ、「ミキサー卓に繋いだハードのあの詰まった感触をくれる解決策を、自分は知らない」と認める。

何を喋っているか

  1. 「音楽制作が、AI とボンドの悪役みたいな配信企業の CEOによって形作られたディストピア的な地獄になったのは周知の事実だ。だから、どれほど古風なシンセとスタジオの伝統主義者でも、今なお意味があるのは『本物の人間が自分のことをやること』だけだと気づいているはずだ」。
  2. その上で「プラグインの世界を再確認し、オーディオ老人にコンピューター上の音源と処理を紹介し、ソフト愛好家のドーパミン系を下品な量のミームでマッサージする」と宣言。第1章「プラグインは全部同じ音がする」——「用途に対して間違ったものを選ばない限り、全部同じ音がする。ミックスにしっかり埋まった音を、あなたを含む誰も、90年代のフリーウェアのガラクタと Pigments で区別できない」。
  3. 「ちゃんと録れているなら、EQ が何であろうと関係ない。Vital が Serum より悪く聞こえるなら、それは間違いなく腕の問題だ」。自問すべき問いは2つだけ。「その仕事に合ったプラグインか」「その UI と CPU 負荷と音の癖で、自分は気が狂わないか」。「Diva の方が Massive よりヴィンテージ再現に向いているのは確かだし、
  4. 自分のように何年も無意味な比較試聴に費やせば、バス・コンプのエミュレーション同士に微妙な違いが聞こえると信じられるようにもなる。だが結局、その時間は音楽を作ることに使えたはずだ。何十年も曲を完成させていないキーボード戦士の一団以外、誰も気にしていないのだから」。「同じことがソフト対ハードの終わりなき戦いにも当てはまる」。
  5. 第2章「プラグインは客観的にハードより優れている」——「1機能1ノブ、人間工学、高級アナログ回路、粗いコンバーターの癖について語られることは多い。だが正直に言おう。ハードの UI は大半が酷いし、まともに管理された目隠しテストならおそらく落ちる。
  6. 「確かに、魂を砕く虚無である Microsoft Teams を8〜12時間見つめた後なら、ハードのグルーヴボックスのさらに小さい画面や、少数生産のギターペダルのノブに感嘆するのは新鮮な空気かもしれない。だが目的が大人のための作業療法ではなく実際の音楽制作なら、プラグインの方がただ優れている」。古いロンプラー、難解なラック・リバーブ、WD-40 の匂いがするアナログ骨董の恐怖については触れるまでもない、と。
  7. ごく一部の唯一無二の音を持つ機材と、作り方そのものを変えるような画期的な機材を除けば、ハードは劣っている。何が起きているかの情報が少ないし、どうせ2つ以上のパラメーターをいじってなどいないだろう」。第3章「まともなパソコンを買え」——「現代のプラグインの過酷な要求への不満は、たいていヒッグス粒子が発見されて以来パソコンを更新していないことに起因する」。
  8. 「陳腐化が決まっているものに大金を払うのが辛いのは分かる。だが5〜10年に一度くらいは大人のふりをして、要りもしないポリのアナログシンセや真空管コンプに消えるはずだった金を取り分けろ。滑らかな動画再生、Chrome の神をも恐れぬ数のタブ、そして税理士に仕事を与えるという副次的な喜びが待っている」。
  9. 第4章「プラグインはいずれ動かなくなる」——「パソコンを買い替えるたび、いくつかのプラグインは絶滅する。これは腹立たしく、人類文明が終わっている明確な証拠であり、完全に容認しがたい」。「秘密兵器だった32bit のプラグインだろうと、すでに二度買った物にさらに金を払わせたいメーカーだろうと、NI がイケていた時代の音源だろうと、
  10. 古い環境でトラックを書き出して新しい方にコピーし、同志の Reddit 民に愚痴を吐いて、先へ進め。あなたのハードの構成だって、この10年で変わっていないわけがないだろう」。第5章「プラグインの弱点は一つだけ」——「遅延だ。大嫌いだ。回避する方法は無いし、DAW のセッションが複雑になるほど悪化する」。
  11. 「低遅延モードに切り替えられる DAW もあるが、自分には必ず聞こえるし、確実にその日を台無しにする。処理能力と高級インターフェースをいくら投じてもだ。UAD や Pro Tools のような専用のものはあるが、ミキサー卓に繋いだハードのあの詰まった感触をくれる解決策を、自分は知らない。ああ、年を取った」。
  12. 第6章「付属プラグインは素晴らしい」——「GAS はハード好きに音楽を作らせないための最も高価な方法だが、ソフトならさらに無意味だ。美しいのは、DAW に付いてくる道具だけで済ませれば、プラグインの GAS は完全に回避できるということ」。「前回のラウドネス戦争のときに買った高すぎるマスタリング一式から離れるのは難しいが、埋没費用の罠に落ちていないなら、その金はまともな椅子と音響処理に使った方がいい」。
  13. 「付属プラグインは他社製と同等のことが多い。ただし重大な欠点が一つある。将来 DAW を乗り換えるのがさらに難しくなる」。第7章「プラグインに金を払う必要はあるのか」——「車をダウンロードしたりはしないだろう」(海賊版防止広告のもじり)。第8章「プラグインを持ちすぎている」——「ハード集めが最も確実な先延ばしの戦略だと思っていたなら、考え直せ。プラグインの収集はもっと中毒性が高い。即座に手に入り、最初の一発はたいてい無料だ」。
  14. 「そして最終的に、身近な誰にも気づかれないまま、平均的な DAWless の人より多くの金を音に使っているかもしれない」。「その膨大な選択肢が一度は筆の詰まりを破ってくれたとしても、長い目で見れば生産性に悪影響を及ぼす。解決は簡単だ。しばらく使っていないものを全部捨てて、残りを隅々まで覚えろ」。
  15. 「どうせ大半のミックスと音作りの問題は、音量を整え、リバーブを足し、低域を切るだけで片付く」。番外編。FL Studio の付属群——「他の DAW の中でプラグインとして走らせられる上に、付属プラグインはミーム素材の宝箱だ。象徴的な EQ の形、どう見ても『ビーバス&バットヘッド』に影響された音源、そして創造的な音の破壊の最終ボス Soundgoodizer」。
  16. 「ただし付属の音源と処理は、皮肉抜きで他の大半の DAW と、高価な専門ソフトすら恥じ入らせる出来だ」。Sausage Fattener——「冗談みたいな見た目だが、今日に至るまでコンプを理解したことがなく、いまだにダブステップがかっこいいと思っている人々の第一選択だ」。Meowsynth——「2007年の YouTube 動画復興に理想的な楽器」。
  17. Delay Lama——「世界的ヒット曲で使われ、サイケデリック・トランスのフロア向け楽曲を一世代まるごと支配したことで知られる。あの歌う僧侶は今も史上最強だ」。締めに「この小さな罵倒/ミームの投棄/音楽制作の自己啓発ビンタを楽しんでもらえたなら幸いだ。買うのがソフトだろうとハードだろうと関係なく、下のリンクを踏んでくれ」。