一芸しかないのか?

Bad Gear - Korg Volca Kick - A One Trick Pony???

この回の結論

Kick はおそらく Volca 一族で最も誤解されているモデルだ。Nicky Romero のプラグインみたいな、今風にブーストされた EDM バスドラの万能ワンストップ機を探しているなら、間違いなく本気でガッカリする。だがこの小さな Volca が出さないのは「クリーンで最適化されすぎた大衆向けダンスフロアの暴力」のほうで、パンチと汚れと容赦ないサブベースに関しては、自分が大好きな Vermona のようなアナログ専門機と同じリーグで戦える。しかもパッチメモリーとシーケンサーの柔軟性のおかげで、キックとベースラインを同時に兼任する怪物級のベース噴火を作れる — アンダーグラウンドテクノ、汚いトラップ、レトロ・エレクトロニカでは特に効く。KORG みたいな老舗が Kickstarter をやらないのが残念でならない。Volca Cowbell なら全力で支援するのに。

何を喋っているか

  1. 世界で最も嫌われているオーディオ機材の番組へようこそ、明けましておめでとう。「多くの人がアンビエントの静けさ、バッハの協奏曲の純粋さ、ザトウクジラのリラックスする歌声を求めている時期」— なのでこれから KORG Volca Kick の話をする。
  2. Volca は全機種いずれこのチャンネルに登場する運命らしい。KORG の携帯型ガジェット群を好きだろうが嫌いだろうが、ものすごい論争が付いて回るのは否定できない。2017年に出たこのキック専門機は「キックのためだけの Volca だと?」と当時かなり首を傾げられた。
  3. だがベテラン勢はすぐ気付いた — 中核に、既知の宇宙で最も邪悪で耳をつんざく音で知られる伝説の KORG 技術が入っていることに。第一印象、上品な黒い筐体に浮浪者の笑みみたいな面構え、整理された操作系。チェック項目を全部「蹴って」いる。
  4. その心臓部は、オリジナル MS-20 セミモジュラーのフィルターをベースにしたレゾネーター。「この一手は皮肉抜きで KORG を褒めたい」。地面が割れるようなベーストーン、ファジーなブリープ、ビンテージなレーザーガン系 SF 効果音。
  5. そして最後に暗黒界の悪魔的なキック。これらの音は数ノブ回すだけで行き来でき、小さなオンボード鍵盤や MIDI でそこそこクロマチックに弾ける。
  6. 内蔵シーケンサーからも鳴らせる。「平均律クラヴィーア曲集のリファレンス録音には使えないが、基本的なベースラインには十分な精度」。パルスセクションでアタックを足せて、シンプルなエンベロープでクリック&カッツ系からキックベースまで作れる。
  7. ジューシーなドライブ段はいいが、トーンつまみはもっと多機能にしてほしかった。内蔵シーケンサーは KORG が本気を出している — 1小節縛りのままだがスウィングは驚くほどグルーヴィー、アクセントもあり、ロールは『スカーフェイス』のラストシーン級までブチ上げられる。
  8. パターンのオンザフライ・トランスポーズも気が利いている。ステップごとに再生方向を変えられるのは最高。スライドが機材の汎用性を大きく上げ、ステップを無効化すれば即座にバリエーションが作れて四つ打ちでないパターンも組める。
  9. パターンチェイン機能については各自の信じる高次の存在に感謝すべき。モーションシーケンスは KORG グルーヴマシンの定番で、キックエンジン上では頭がおかしくなる結果が出せる。ここで Volca のお仕置きリストを早送り — 小さすぎ、MIDI アウトなし、ミニジャック端子。
  10. 内蔵スピーカーはショボい。「これらは KORG が本物のシンセを作るのを妨げているし、体の穴にぴったり収まる」。Kick は新品で買えて最も安価なモダンシンセの一つ。製品ラインの中でも特化型で、ビンテージ技術と新しい発想を難なく融合させている。みんな単に理解していなかっただけでは?
  11. 今日のイントロ曲でもう Kick の音は聴いている。「牛を殺したらハンバーガーにしないとな」。そろそろ真面目にやる時間だ、ということで最初のジャム。
  12. 「思ってたより楽しかった」。Volca のワークフローも音も、少しヨレていた Beats の頃からずいぶん進歩したのが分かる。こういうストレートなダンスフロア向けバンガーなら万事楽しいが、1小節のパターン長は他ジャンルでは本当に制約になる。
  13. 次は Kick をベースシンセとして使い、Digitakt からトリガーする。
  14. 悪くない。フル装備のモノシンセではないが、Vermona のキックドラムにも張り合えるしベースは深い。イントロ曲で聴いた通り、Volca Kick 一台で楽曲全体を作ることも可能だ。幸い、そうする必要はない。キック以外のドラムサンプルを少しだけ足す。
  15. ほんの少しだけ。「2022年はいい年になりそうだ」。驚くほど心温まるキック&ベースの瞑想。
  16. Verdict。Kick は Volca 一族で最も誤解されているモデルかもしれない。Nicky Romero のプラグインみたいな今風にブーストされた EDM バスドラのワンストップ機を求めているなら、本気でガッカリする。この小さな Volca が出さないのは、多くの現代プロデューサーが欲しがる「クリーンに最適化されすぎたメインストリームのダンスフロア的暴力」のほうだ。
  17. パンチと汚れと容赦ないサブベースに関しては、自分が大好きな Vermona のようなアナログ専門機と同じリーグにいる。さらにパッチメモリーとシーケンサーの柔軟性で、キックとベースラインを同時にこなす怪物級のベース噴火が作れる — アンダーグラウンドテクノ、汚いトラップ、レトロ・エレクトロニカで特に有効。
  18. 「KORG みたいな老舗が普通 Kickstarter をやらないのが残念だ。Volca Cowbell なら全力で支援するのに。」観てくれてありがとう、また次回。よかったら高評価・登録・Patreon 支援を、そしてどんな機材を扱ってほしいかコメントで教えてくれ。