ロックダウン用ドラムキット?

Bad Gear - Yamaha DD-10 Digital Drum Bank - Lockdown Drum Kit???

この回の結論

Yamaha DD-10 はサンプルの選択肢が豊富とは言えず、機能も限られ、見た目も美しくない。硬いプラスチックのパッドは好みが分かれるし、ペダルは Tama Iron Cobra の水準ではない。それでもリハスタから隔離され、赤ん坊を起こしたくない人への「代用ドラッグ」としては薦める。ノイジーな出力とハムを考えると、クランチーなローファイ音が欲しいプロデューサーは Bedroom Producers Blog にある 26音のサンプルパックを選ぶだろう。だがサビにまともな歌詞を書かず「ヘイ!」と叫ぶ系のインディーバンドには、これ以上ない理想の電子パーカッションだ。

何を喋っているか

  1. 世界で最も嫌われた音響機器の番組、Bad Gear へようこそ。先週は 80年代の Roland D-110、2000以上のパラメーターを持つ怪物だった。今回はサブメニューの迷宮がない機材が欲しかった。
  2. 単純さを求めて転がり込んだのが、同時代のマイナーで小さくないドラムマシン Yamaha DD-10。1988年のデジタル「プレジューマー」パーカッション、Yamaha DD シリーズ最初期の一台。DD の名を冠したこれより古い機種は見つからなかったが、この製品ラインの始祖だと断定もできない。詳しい人はコメントで教えてくれ。ちなみにこのシリーズ、現代版が今も売られている。
  3. 生ドラムはうるさくてデカい。子供に DD-10 みたいな装置を買い与えて、家にドラムセットが来る弾丸をかわせた親は大勢いたはずだ。この巨大なクリスマス靴下の詰め物が、どれだけのドラム人生の夢を粉砕したのか知りたくもない。この奇妙な日々、我々も似た状況にいる。ただし今回文句を言うのはたいてい子供の方だ。
  4. 一見スペックは揃っている。今まで聴いた中でも屈指のクランチーなローファイサンプルを鳴らす大きなパッド、キックとハイハット用のペダル、大量のプリセットリズム、そして使い道が見つからなかったロール機能。
  5. 内蔵スピーカーは 1.3W のパワーアンプ付き。たいていのアコースティック編成に対抗できる音量だ。サンプルは標準ドラムキットに加えパーカッションバンクと電子音バンクもある。ただし一部の音は通常サンプルをピッチダウンしただけで、アンチエイリアスも補間もかかっていない。
  6. カスタムバンクも作れるしタップテンポボタンもある、いいね。コンバーターは Yamaha TX81Z と同じチップで、もっと高いビットレートも出せるはずだが、ネット上の各種情報によると DD-10 のサンプルは 8bit。体感は 4bit だが。同時代のおもちゃ楽器と一線を画すのが MIDI IN と、基本的だが機能する内蔵シーケンサーの2点。
  7. MIDI クロックに同期できるのには驚いた。ショルダーストラップを付ければドラムバンクが……何と呼ぼうか、「ビーター」になる。パッドはベロシティ2段階、Digitakt より1段階多い。
  8. 状態のいい DD-10 は中古で 30〜50 統一世界通貨。サーキットベンダー諸国民に愛され続けている。少々古臭いのは確かだが、なぜこのデジタルドラムバンクを Pete Townshend よろしく叩き壊したがる人間がこんなに多いのか。楽器破壊を今どき気にする者などいないのに。
  9. 冒頭のイントロ曲でもう DD-10 は鳴っていた。あの用途にはクランチーすぎたし、本物のクラッシュシンバルがあれば助かった。ここからは内蔵シーケンサーの試運転、ドラムマシンだけのジャム。
  10. DD-10 を手に入れても愛用のドラムマシンを売り払うことにはならないだろうが、音楽のアイデアを走り書きするノートとしては悪くない。ただし電源を切ると大事なパターンは忘れられる。あと妙なことに、LED ソフトボックスを隣に置くと明らかに聞こえるハムが出た初の楽器だった。
  11. ライブで使うつもりなら覚えておくこと。次は現代の機材と組んだセットアップでドラムモジュールとしてどうか、Digitakt でシーケンスして試す。
  12. 予想より良かった。MIDI は完璧に動き、ローファイなドラムサンプルは他2台の前に出る音への良いカウンターポイントになっている。実際のレコードで DD-10 を使ったと自ら白状したミュージシャンは見つからなかった。だがこの超ドライな音、本気のブレイクビーツに使えるのではと考えた。
  13. 速すぎる IDM/ポスト・ジャングル/ドリルンベースの練習曲で試す。
  14. Verdict。Yamaha DD-10 はサンプルの品揃えが最も多彩とは言えず、機能も限られ、見た目も美しくない。硬いプラスチックのパッドは好みが分かれ、ペダルは Tama Iron Cobra 級ではない。それでもリハスタから隔離され、赤ん坊を起こしたくない人への代用ドラッグとしては薦める。
  15. 大人がこの手のおもちゃっぽいデジタルパーカッションを叩く姿はやや間抜けに見えるが、この機種なら少なくとも「ヴィンテージだ」と言い張れる。作りは全体に良く、200BPM の高速 MIDI ノート連射でも平然としていた。ただ時々 MIDI チャンネルを思い出させてやる必要があった。ノイジーな出力とハムを考えると、あのクランチーなローファイ音が欲しいプロデューサーは Bedroom Producers Blog にあるような 26音のよくできたサンプルパックを選ぶだろう。
  16. だがサビにまともな歌詞を書かず「ヘイ!」と叫ぶ系のインディーバンドには理想の電子パーカッションだと言いたい。見てくれてありがとう、また次回。高評価とチャンネル登録を、そして次に見たい機材をコメントで。