メーカーに対して、「いや、そうじゃねえんだよな」っていう感想を、俺は割とずっと持ってきたタイプなんですよ。ただ、この感覚を共有できる友人っていうのが本当に少ない。今なんてゼロなんだけど。
Bad Gear は「よくぞ言ってくれた」
そんな中で、「俺が思ってることをうまく表現してるな」と思ったYouTubeの企画がある。AudioPilzっていうチャンネルの「Bad Gear」。この企画こそ、まさに「よくぞ言ってくれた」っていう感じなんですよ。
「この機材クソだ」とか、「なぜダメなのか」とか、バシバシ切っていく。俺はこのチャンネルをかなり評価してるし、編集もめちゃくちゃ面白い。機材に対する視点も含めて、すごく信用してるチャンネルなんですよ。
逆に日本の機材系YouTubeを見てると、その辺の視点が欠けてることが多い。どの機材もいい。全部好き。みたいな。結局、日本ってそういう人が多い気がする。
でも俺は、そういう人が作ってる曲を聴くと、がっかりすることが多い。なぜかというと、機材に対してこだわりがない人って、結局、音に対してもこだわりがないことが多いんですよ。
ロマンと美学
やっぱり俺は、そこにロマンがないとダメなんだと思う。美学というか。「いや、これはいいでしょ」「これは悪いでしょ」っていうものがちゃんとある。それって単なる好き嫌いじゃなくて、自分の中の美学に根差したものだと思う。
じゃあ機材における美学って何なのか。俺の場合、結構重要なのが、「この機材って、こういう曲を作るために作られてるよね」っていう、設計者の意図がちゃんと反映されているかどうかなんですよ。
何でもできます、じゃない。この機材を触ったら、自然とこっちの方向に行く。そういう機材が好き。
Roland がしくじってきたこと
Rolandって、俺からするとその辺を長いことしくじってたメーカーなんですよ。もちろん、どんな機材でもちゃんとチューニングしていけば、いい音はするのかもしれない。でも、「こういう感じの曲を作るのに最適だよね」っていうところまで最適化されてない。何十年か、そういう感じだったと思う。
ただ、AIRA Compactなんかは、その辺をかなり振り切った。本来のRolandの良さをちゃんと絞り込んで、「これでこういうサウンドを作るんでしょ」っていうところまで持っていった。あれは絞り込みに成功してると思う。
一方でMCシリーズとかは、俺からすると本当にダメだった。なんかこう、何をさせたい機材なのかが絞り切れてない。そういう用途を絞り切れてない機材っていうのを、俺はやっぱりあんまり好きになれない。
逆に昨今のSONICWAREなんかは、めちゃくちゃ絞り込んでる。尖ってる。だから好きなんですよ。
音を聴けば全部分かる
これは機材を紹介するYouTuberにも同じことを感じる。グルーヴボックスとかを紹介してる人でも、「俺はこのジャンルしか作らない」くらい尖ってる人の方が、俺は信用できる。その人が何を良しとして、何をダメだと思ってるのかが分かるから。
逆に言えば、音を聴けば全部分かるところもある。どんな機材を選ぶのか。その機材からどんな音を出すのか。何を「いい音」だと思ってるのか。結局、その人の美学って、全部そこに出るんですよね。